会長、社長の帽子をかぶって考える
役員として大事にしているのはビジョンです。私よりスキルが高かったり、知識の引出しが多い社員がたくさんいるので、そこでは叶いませんが、目指したい姿に対する意志としてのビジョンは誰よりも高い視点を持っていたいと思います。「今はこういう状態だけど、将来はこういう形に持っていきたい。では、今どうしたらいい?」という感じで、いつも議論をしています。そして自分の考え方が間違っているのではないかとか、考えが浅いという自覚があるときは、社員に相談を持ちかけ彼らの意見を取り入れて柔軟に見直し、繰り返しブラッシュアップしています。
ただし、多様性は重んじても、同じ価値観をもって目標を達成しないとブレのないブランドは確立できないので、そこは気をつけています。開業前にみんなで話し合って決めたマニフェストにあるように、「正直に経営し、わかりやすく、安くて、便利」な生命保険をつくっていきたいという理念にはブレがありません。それに対する会長の出口と社長の岩瀬の思いも強く、トップ2人の思いと社員の思いの間にブリッジをかけるのも私の役割です。
また、管理職になって課長、部長と一段ずつステップアップしていくと見える景色も変わってきます。部長会議なら部長会議、役員会議なら役員会議でしか共有されない情報があるんですね。やはり情報を多く持つことは、判断材料が増えることにつながり、自分の判断がビジネスに及ぼす影響力も格段に違ってくるのでやりがいも増します。
今も感じますが、私と会長、社長が持っている情報のレベルには違いがあります。会長や社長と判断が違うとき、見えている景色が違うのだろうなと思うのです。そんなときは「なぜ、この人はこういう判断に至ったのだろう」と、その人の“帽子”をかぶって想像してみます。ライフネット生命に入ってからは、昔のように突っ走るだけでなく、ちょっと引いて経営的目線で業務の意味を考えるようになりました。