JTB関東は、関東甲越の6県をエリアに、自治体や事業パートナーと連携を深め、新たな観光資源を積極的に開発し、主要駅と観光地を結ぶ交通手段をも新設して集客力を強化。内外に向けて「関東」ブランドの浸透に大きく貢献している。

全社を挙げて取り組む
壮大な事業

今枝 敦
JTB関東 代表取締役社長
群馬県高崎の名産品のだるまを持って。

JTBグループが総合旅行業を超える新たな事業領域として「交流文化事業」を掲げてから、まもなく10年を迎える。

さまざまな「交流」を創造することで新たな文化や価値を生み出し、それが観光資源、経済資源となって地域を活性化していく――。このような「交流文化事業」をより地域に根差して展開するため、分社化によって設立した地域ごとの事業会社が、独自に進化している。

それぞれの地域事業会社が自治体や事業体など地域の人々と一緒になって、「地域の宝」を発掘・再発見する。それを磨き上げ、観光資源へと高めて日本全国、さらには世界各国から人を呼び込む。

それがJTBグループが目指すDMC(ディスティネーション・マネジメント・カンパニー)だ。

「我々は『47DMC』と呼んでいますが、これは47都道府県の支店がそれぞれに地域の魅力の掘り起こしと情報発信を主導していこうという考え方です。地方創生の時代が訪れていますから、さらに加速していかなければいけません」

JTB関東の今枝敦社長はこう語る。

地域協力の組織を立ち上げ
地域情報を積極的に発信

同社の事業エリアは埼玉、茨城、栃木、群馬、新潟、山梨の関東甲越六県。広範なエリアに日光東照宮(栃木)、富士山(山梨)、富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬)という注目度の高い3つの世界遺産を抱え、アクセス面では3つの新幹線(上越、長野、東北)が走り、国際線が発着する2つの地方空港(新潟、茨城)があるのも強みだ。

「全国有数の温泉地、観光地、食材に恵まれた地域特性は私どものエリアの利点だと思っています。首都圏から1時間半から2時間と交通の便も非常にいい。ただし、認知度についてはまだまだ課題があります。関西空港のおかげで『カンサイ』は海外でも知名度が高いんですが、『カントウ』はあまりなじみがない。そこで関東のブランド力を高めようと昨年7月に『JTB関東交流文化誘致協議会(関誘協)』を発足しました」

JTB関東の事業戦略のキーワードは「地域深耕(広)」。地域をより深く、より広く耕すことで、地域振興につなげていこうという決意が込められている。その取り組みをつなぐのが関誘協だ。エリア六県の自治体、観光協会、交通会社、ホテル・旅館、物産店などの事業パートナー約180社が参加。エリア内の新たな観光素材の開発はもちろんのこと、県をまたいだ広域観光を推進、それらの情報を専用サイト「かんた~びれ」を通じて発信している。

進化するJTBグループ<index>

第1回「地域の宝」を新たな観光資源に。「カントウ」のブランドアップを図る(JTB関東)
第2回合言葉は「オール関西」。事業パートナーと“走りながら”考える(JTB西日本)
第3回「観光アイランド・九州」 九州経済の活性化に向け、新たな価値や魅力を多様なパートナーとともに磨く(JTB九州)
第4回北海道新幹線の開業を見据え、観光による地方創生事業を開発し、全道で展開する(JTB北海道)