点から面への展開を支える
二次交通の整備

「例えば、群馬県の伊香保温泉に泊まってその周辺を観光する。足を延ばしても近隣の観光地に寄って帰るというパターンで、どうしても“点”を中心に移動するケースが多いんです。しかし北関東道が開通して関東平野のアクセスは格段に良くなりましたから、これからは“点”ではなく“面”、つまり広域観光で勝負できる。例えば東照宮と富岡製糸場を結びつければ、1度の旅で2つの世界遺産が見られます」

地域の宝を結びつけることで、よりダイナミックな交流を実現する。そうした“面”の広域観光をバックアップするのが観光地を回遊する二次交通だ。JTB関東ではリゾート地の軽井沢と世界遺産の富岡製糸場を結ぶシャトルバス「コクーンシャトル(富岡・軽井沢線)」を運行して、利用者と地元から好評を博している。

また2013年から、地元のタクシー会社と共同で石和温泉と甲州(笛吹・勝沼地区)の4つのワイナリーを乗り合いバス感覚で回遊できる「やまなしワインタクシー」の運行を開始。タクシーを利用すれば気兼ねなく試飲もでき、利用者数は1500人を超えた。ルミエール ワイナリーの木田和オーナー夫人は、「JTB関東さんの提案で、年々利用者が増え、地域の活性化にもつながっています」と手ごたえを感じている。

「富岡製糸場の場合、もともと観光素材ではありませんからアクセスは決して良くないし、駐車場も少ない。世界遺産になった途端、人口5万人の街に多い日は1日1万人の観光客が訪れるようになって富岡市も戸惑っておられた。そこで私どもから、お客様を整理する包括的なシステムをご提案しました。ワインタクシーは社員のアイデアから立ち上がった典型的な事例です。私も酒を嗜みますが、考えてみれば、車でワイナリーに行ってもワインは楽しめませんよね(笑)」

小さな祭にも目配りし
海外との交流も促進する

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JTB関東の各店舗は地域密着度が高く、自治体や事業パートナーから相談を持ち込まれることが多かったという。

「法人営業に携わる社員が約400名いますが、彼らは高いアンテナを張って目配りをしている。関誘協にしても専任のスタッフが、現場に熱心に足を運び、地域の旬な情報を収集している。例えば関東六県には広く知られていない祭がいくつもあります。1日で終わってしまうような小さなお祭ですから、なかなかPRしきれていない。そうしたお祭を“面”で結びつければ、新しい交流を生み出せるかもしれない。豊富な観光資源に安住することなく、そんな仕掛けを私どもはお手伝いし、地域をさらに豊かにしていきたいと考えています」

昨年の訪日外国人の数は過去最多の1341万人を記録。2020年には2000万人オーバーが見込まれる外国人旅行客をいかに呼び込んでいくかが今後の重要なテーマになってくる。

「海外に向けた情報発信と共に、受け入れ体制の整備も必要です。そのために『外国人旅行者向けおもてなし講座』や英会話のオリジナル教材も開発しました。これからは多様な価値観を持ったお客様がやってくるわけです。地元の人たちが気付いていない日本の魅力、地元の宝を掘り起こし、まだ見ぬ交流を生み出していきたいと思います」

 

進化するJTBグループ<index>

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第2回合言葉は「オール関西」。事業パートナーと“走りながら”考える(JTB西日本)
第3回「観光アイランド・九州」 九州経済の活性化に向け、新たな価値や魅力を多様なパートナーとともに磨く(JTB九州)
第4回北海道新幹線の開業を見据え、観光による地方創生事業を開発し、全道で展開する(JTB北海道)