ベッドに倒れ込んで起きられなくなることも
あるいは、酔った患者さんが怒ったり怒鳴ったりしていると、他の患者さんもいますし早く診断して帰ってもらいたいと思うのが人間の普通の感情でしょう。医者も人間なので、当直で全く寝ていない時間帯に理不尽に怒られたり怒鳴られたりすれば、いつものように冷静でいられないこともあります。そこを堪えて「これで患者さんを帰して大丈夫か」「本当に疾患を見逃していないか」と落ち着いて普段通りの診療スタイルを貫けるかが問われますし、また、血が一気に出たり、心臓が止まったりという緊急事態の時、自分を鼓舞して一気に気持ちをピークに持っていけるかどうかも重要です。
それに交通事故などで搬送されて亡くなった患者さんの家族と、最初にやり取りを交わすのも私たちであるわけです。そんなときは家族の気持ちを怒りやショックの段階から落ち着かせ、どうやって現実と向き合ってもらうかも意識しなければなりません。そんなふうに、接する相手の感情の起伏が激しい職場なので、忙しかった日は家に帰るとベッドに倒れ込んで動けなくなることもあります。