EDは二人で考えるべき問題
治療のきっかけづくりを

──EDは自分だけでなく、パートナーにとっての問題でもあると思います。

【石井】確かに少数ながら、パートナーと一緒に来院される方や、なかにはパートナーに望まれて治療を始める方もいます。子供がほしい夫婦が排卵日を意識するあまり、男性側がうまくいかなくなる。そのようなケースです。でも多くの男性は、内緒で治療を受けますね。それは一つの思いやりであって、女性側が「私のせいでEDになったのでは……」などと考えないよう気遣っているのです。

夫にED の可能性があるとき、その治療について、妻はどのよ うに受け止めるのか。アンケートでは、「サポートしたいと思う (25.9%)」「どちらかといえばサポートしたいと思う(48.3%)」 と、77.8%がED を克服するための力になりたいと考えている ことが分かった。
出典:2012 年「夫婦間コミュニケーションとED に関する実態・意識調査」より
──治療を受けないままだと、いずれセックスレスに。

【石井】そうなりますね。しかも器質性EDでは、勃起の機会が減るほど血流が悪くなり、陰茎の血管がますます硬化していく悪循環も心配されます。症状が比較的軽い、つまり血管年齢が比較的若いうちは、PDE5阻害薬を使って必要な場面で勃起を助け、禁煙などの生活改善をプラスすると、血管の回復もある程度は期待できます。

ただし、やはり内緒の治療はいけません。いつどんな病気が起こらないとも限らないのが人間の体。ふだん服用している薬について、パートナーから医師へ伝える場面がないとは言えませんから。

──するとパートナーの理解も、いわばED治療の一環というわけですね。

【石井】そう考えることもできるでしょう。

──石井先生のクリニックとして、より受診しやすい環境づくりのために工夫なさっていることはありますか。

【石井】当院のホームページから問診票などをダウンロードしていただくことができます。あらかじめ記入してお持ちくだされば、よりスムーズにスピーディーに問診し、その場で薬をお渡しできます。また、メールカウンセリングで初診前のご質問にもお答えしますので、疑問や不安があれば、足を運んでくださる前にクリアできることもあると思います。

──治療を迷っている方々へメッセージをお願いします。

【石井】二人きりでの旅行を控えた年配のご夫婦が、せっかくの機会だからと、初めて受診されるケースもあります。一度PDE5阻害薬を飲んだ皆さんは、続ける例がほとんど。薬の効果を実感なさるからでしょう。肝心なのは、治療に踏み切るきっかけですね。パートナーによる励ましばかりだと重圧にもなりかねませんが、「受診してみたら」といった軽い動機づけは、とてもいいことだと思います。いつまでもお二人でより幸せな日常を歩んでいくためにも、EDが気になったら、ぜひご来院ください。

男の健康学<index>

第1回EDには治療薬がある。迷わず専門医を受診し公私の「自信の回復」へ
第2回EDとその裏側にある生活習慣病との深い関係
第3回より幸せな日常を、二人で歩んでいくために
第4回メタボなら要注意! 血管の老化がEDを招く
第5回ストレスのせいでEDに!「心因性」を克服するには
第6回高血圧症や糖尿病が招くEDの悩みを解消へ
第7回偽造薬のリスクに近寄らず「安全・安心」のED治療を
第8回「朝立ち」がなくなったらED?毎日の現象が示す真の意味
第9回妊活中のカップルに降りかかる危機!「タイミングED」を乗り越える
第10回誰にも聞けない──!? EDと治療のギモン