また、若い女性社員に、管理職になったほうが仕事が楽しくなる、両立もしやすくなるなど、人生にプラスなんだと思わせる、社内啓蒙活動も欠かせないと思います。
多くの女性社員が大きな誤解をしていますが、私が取材した限り、実はエラくなったほうが、家庭との両立もしやすいし、やりたい仕事をやりやすいという側面があります。
たとえばヒラは今から帰ろうかと思った矢先に上司に「この資料、明日までにまとめといて」と言われてしまえばそれまでですが、管理職ともなると、自分の裁量、采配でスケジュールを組み立てることが出来ます。
そして、ヒラの時代は、上司から振られた仕事は嫌でもやるしかありませんが、管理職ともなれば自分のやりたい仕事を顧客や社内に提案し、それを通せば、出来る利点があります。
もちろん、今の管理職は自分自身もプレーヤーとしての責任を負ったプレイングマネジャーが多く、仕事が大変なことに間違いはありません。それでも、社内的社会的に影響力の大きい仕事が出来るなど管理職はヒラには味わえないアドバンテージはたくさんあります。
こうした、「いい側面」は、どんどん開示し見せてあげることが重要だと思います。
さらには、管理職になったその後、どんな道が開けるか「キャリアパス」を示す――。ここまですれば、「マーネジャーになってみたい」と思う女性は確実に増えるはず。
その前段階として、まずは、管理職に興味がある女性は、どんどん抜擢し、責任あるポジションにつける。あるいは、女性も社内のリーダーシップ研修などにどんどん出すことが重要だと思います。
一度、マネジメントの面白さ、エラくなることで得られる特権を知ってしまえば、多くの女性がそれを手放さないのではないでしょうか。
いや、もしかして、男性は女性をライバルから排除するため、これまでわざと管理職の利点を知らせなかっただけだったりして……とまで言ったらイジワルですかね。
1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年、企画編集事務所「ブックシェルフ」を設立。20代、30代女性のライフスタイルに詳しく、また、同世代のサラリーマンの生活実感も取材テーマとする。著書に『婚活難民』(小学館101新書)、『なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術』(ソフトバンク新書)、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)がある。東洋経済オンラインにて「ワーキングマザー・サバイバル」連載中。