26年の時間を超えて共有された感動
合掌土偶がほかの土偶とは区別して大切にされた理由は何か。おそらく合掌の姿と無関係ではないだろう。「祈り」という精神的な営みが当時、すでに重んじられていた事実を伝えているかのようだ。
皇室にとって“祈り”は取り分け重要な意味を持つ。天皇陛下ご自身、合掌土偶をご覧になった26年前の平成時代、すでに皇太子として皇居の宮中三殿の殿内で、皇室の祭祀にご熱心にたずさわっておられた。そのご体験があればこそ、合掌土偶に深い感動を覚えられたのではないだろうか。
そして、ご自身の感動を敬宮殿下に伝えられた。それは、遥かないにしえから受け継がれる「祈り」の尊さを、3500年の時を超えて敬宮殿下にも感じ取ってほしい、という願いからかもしれない。
敬宮殿下は土偶をご覧になって、「時を超えて、見せていただきありがたいです」とおっしゃった。「ありがたい」という言い方をされている。まさに26年の「時を超えて」天皇陛下のご感動を共有されたことだろう。直系だからこそのご体験といえる。
小学生に「勉強になりました」
翌日はむつ市に入られた。むつ市総合アリーナ(むつマエダアリーナ)で国民スポーツ大会のフェンシング競技をご覧になり、むつ来さまい館に移られた(来さまい=地元の方言で「来てください」「お越しください」)。
そこでは、地元の関根小学校の児童たち13人から、海洋ゴミの調査や、廃棄物や不要品にデザインやアイデアなど付加価値を加えてもとより価値の高いものに生まれ変わらせる「アップサイクル」などについて、説明を受けておられる。殿下は子どもたちに「素晴らしい発表で私も勉強になりました」とお礼を述べられた。
皇女という身分の方が、小学生から学んだと率直に表明されたことは、異例ではないだろうか。この謙虚な誠実さは、いかにも敬宮殿下らしい。