親の毅然とした態度が子どもの言動の基礎になる
問題は、こうした言葉が「みんな言っているから」「面白いから」という感覚で子どもたちに広まっていくこと。子ども自身には悪気がなく、深刻さに気づいていないケースがほとんどなのです。だからこそ、親がきちんと向き合う必要があります。
①まず「ダメ」と伝える。そして「なぜダメか」を教える
乱暴な言葉、汚い言葉を使ったわが子に、どう向き合えばいいのか。答えはシンプルです。まず、「それはダメ」とはっきり伝えること。本人が、使うとよくない言葉だとまだ知らないなら、まずそれを教えてやりましょう。
そのうえで、図表1のようになぜ使ってはいけないのかを説明して、最悪のケースまできちんと想像させてやることが大切です。本人がリスクを感じたら、自発的に考えるようになります。
もし周囲の友達がそういった言葉を使っていたとしても、「自分は絶対に使わない」という約束を親子で確認しておきましょう。
②「今、なんて言ったの?」と問いかける
それでも子どもが乱暴な言葉、汚い言葉を使い続けたときは、「今、なんて言ったの?」と問いかけてみてください。この一言は、乱暴な言葉、汚い言葉に対する「親の違和感の表明」で、思いのほか効果を発揮します。子どもは、親がどう反応するかを敏感に見ています。親はスルーせず、きちんと違和感を表明することが大事です。
また、子どもが乱暴な言葉を使ったとき、「どんな気持ちだったか」を引き出す質問をすることもおすすめです。子どもが自分自身の行動を振り返るようになるからです。
たとえば、「どういう気持ちからその言葉が出てきたの?」と親から聞かれたら、「ちょっとイライラしていたから、つい使ってしまった」と子ども自身が気づき、「次からは気をつけよう」という学びになります。
頭ごなしに叱るより、問いかけによって子ども自身に考えさせること。そのプロセスが、言葉への正しい意識を育んでいきます。
③知的好奇心が、汚い言葉への免疫をつくる
テレビやSNS動画などの影響で、子どもの言動が乱暴になることもあります。根本的な対処法として、子どもの知的好奇心を早い段階から育てることをおすすめします。
たとえば、戦国武将に興味を持てば、歴史の本や大河ドラマに夢中になります。録画した朝ドラ(連続テレビ小説)を一緒に見る習慣をつくるのもいいでしょう。「学ぶことは楽しい」「知ることには喜びがある」と感じた子どもは、乱暴なコンテンツや言葉には自然と興味を持たなくなります。
家庭での日常会話が知的好奇心をくすぐるものであれば、子どもの言葉の感性も磨かれ、乱暴な言葉、汚い言葉に違和感を覚えるようになります。外で耳にしても、「異質なもの」として自然に認識できるようになるのです。学ぶことの楽しさを知った子どもは、おのずと言葉の質も上がっていきます。
④「うちはうち」という軸を、家庭に持つ
「うちはうち」という軸を、家庭の中にしっかり持つことが大切です。学校で流行っているからといって、わが子も同じにしなくていいのです。親が見せたくないものは見せなくていいし、読ませたくないものを読ませる必要もありません。
とはいえ、親にできることとできないことを切り分けることも大切です。親は子どもの交友関係や学校での行動のすべてをコントロールすることはできません。
しかし、親としての態度や言葉は考えることによってコントロールすることができます。家庭の中で「できること」に集中して毅然とした態度でしつけを続けることが、子どもの言動の基礎になります。家庭が「正しい言葉を使う場所」と子どもが感じられる状態になっていれば、外の世界の悪い影響に対する最大の防御になるのです。
※本稿は、『プレジデントFamily2026夏号』の一部を再編集したものです。



