不正入学事件が「正攻法」の追い風になった

――2019年に富裕層による名門大学の不正入学事件が発覚しました。この事件は、受験コンサル市場にどのような影響を与えましたか。

この事件は、弊社の事業には追い風となりました。事件が明るみに出た直後、弊社への問い合わせは2倍になりました。この事件によって、「富裕層の家庭でさえ、子供を名門大学に入れるためにはここまでしなければならないのか」と、多くの人が入試プロセスの複雑さを知ったからです。

事件前は「クリス、誰か大学に知り合いはいないの?」と聞かれることもありましたが、そもそもコネなど当時からなくて常に答えは「いいえ、誰も知りません」でした。今ではそんなことは誰も聞いてこなくなりました。

また事件後、ウォールストリート・ジャーナルの一面に「ハイエンドな大学入試カウンセリングの合法的な世界」というタイトルで私の写真入りの記事が載りました。つまり弊社は、費用をかけてでも正攻法で合格可能性を高めたい家庭にとって、その選択肢を象徴する存在になったのです。

オールAではなかった創業者の原点

――一流大学への進学を支援するノウハウを、どのように築いたのでしょうか。

元になっているのは自分の体験です。高校生の時の私の成績はオールAではなく、Bが3~4個ありました。「クリス、成績が足りないから君は一流大学には行けないね」とみんなに言われましたが、私は「とにかく挑戦させて」と粘りました。

なぜなら、学校の外でとある活動をやっていて、これが大学の関心を引くのではと思っていたからです。具体的には、いじめがもたらす被害の実像を若い人々に教えるとともに、情動知能(EQ)の考え方を学校教育に取り入れる活動に取り組んでいました。レディー・ガガが(いじめ撲滅運動や若者支援を行う)非営利団体を立ち上げたときには、高校生だった私もハーバード大学で行われた設立イベントに登壇し、レディー・ガガと一緒に(人気司会者の)オプラ・ウィンフリーからインタビューを受けました。成績は完璧とは言えなかったけれど、こうした学業以外の活動や意欲、それに訴える力の強いストーリーを提示できたおかげで、私は他の受験生より頭一つ、抜け出すことができました。その結果、イェール大学に合格しました。

高校時代、レディー・ガガと共にインタビューを受けた
写真=本人提供
高校時代、レディー・ガガさんと共にインタビューを受けた
高校時代、レディー・ガガと共にインタビューを受けた
写真=本人提供
レディー・ガガさん(右)と

すると同じ高校の後輩たちみんなから「クリス、オールAじゃなかったのにどうやって合格したの?」と聞かれたので、彼らの受験の手伝いをしたら、1人はMITに、もう1人はスタンフォード大学に受かりました。そこから先は親御さんたちの口コミでビジネスが成長していきました。いわば偶然の産物ですね。