遅刻の原因だったメイク動画に目をつけた

――学業成績がトップではなかった生徒に、どのような支援をしたのでしょうか。具体例を教えてください。

ファッションや美容や化粧品にすごく興味があるけれど、成績は2番手という子がいました。アメリカ国内の名門高校に通っていましたが、成績は平均するとBで、アイビーリーグ合格は難しいと思われるレベルでした。

彼女は遅刻の常習犯でした。(リモート面談中に)成績か作文の下書きか何かを画面共有で一緒に見ていた時に、画面の上の方にいくつもタブが開いていて、それがユーチューブだということに気がつきました。彼女はメイクのハウツー動画を見ていて、それで遅刻したんです。見ているうちに時の経つのを忘れてしまったんですね。

そこで私は『君は何をしているの? これは何? 何でこれが面白いと思うの?』と尋ねました。彼女はありとあらゆる化粧品の情報や、どういう肌にはどのブランドがいいかといったことを知り尽くしていました。エキスパートと言っていいくらいに。

そこで私は、それだけ知識があるなら、自分で動画を作ってみたら? と提案しました。そうすればコスメ会社から無料で商品が送られてくるかもしれないよ、と。「えっ、動画を作ったらタダで化粧品がもらえるの?』と彼女は乗ってきました。

動画を撮影する女性
写真=iStock.com/Deagreez
※写真はイメージです

「コスメ好き」を武器にアイビーリーグ3校合格

そこで動画制作に取りかかったわけですが、彼女はとてもシャイな子でした。インタビューをしたりカメラに向かって話すのは大変に勇気が要ることで、そのためには練習や準備が相当必要でした。でもその甲斐あって、さまざまなブランドから化粧品が送られてきました。(セレブで若くして化粧品ブランドで成功した)カイリー・ジェンナーからも商品が送られてきたんですよ。

彼女はこの経験をテーマに、出願に際して大学に提出するエッセイを書きました。自分はとてもシャイで内向的だったけれど、メイクそのものだけでなく、メイク前とその後の自分の姿をさらす動画を制作したことで自信を持つことができた。肌の悩みも多かったけれど、それも率直に伝えることができるようになった、と。

私たちは『ユーチューブの動画を作ろうよ、やってみようよ』と彼女の背中を押しました。動画制作それ自体は別にすごいことでも何でもなかったけれど、彼女の独自性になった。他の子たちはやらないようなことだったから、彼女は抜きん出ることができたんです。そこが彼女の『売り』となって、結果、アイビーリーグ3校で合格を勝ち取りました。成績はそれほどよくなかったのだから、すごいことです。