中途半端な“アリバイ作り”に終始
しかも、今回の改正によって、養子として皇族となった男性の下に生まれる男系の嫡出男子には、皇位継承資格が認められるとされている。つまり、養子になることのハードルは高くなった。養子に入れば、“天皇の父”になるかもしれないのである。
さらに、養子縁組が成立した際、新たな儀式を行うことを宮内庁が検討していると報じられた。そこには、役所として予算を増やしたいという思惑が働いているのだろうが、これで養子のハードルはさらに高くなった。
このような一連の流れを見ていくと、改正作業を無駄なものにする方向で全体が動いているという印象さえ受ける。
女性皇族の結婚後の身分保持についても、住民票の氏名欄には、姓を伴わない「名」だけが記されることになった。皇族は姓を持たないからである。だが、いかにもそれが中途半端な策であることが、余計に印象づけられることとなった。
要するに、改正された内容の全体を見通して作業が進められたわけではなく、とにかく、皇族数の確保を目指して努力はしたという“アリバイ作り”がなされただけなのである。
高市首相の言葉と行動の間に見える矛盾
改正された皇室典範に、意味はまったくない。それが現実である。
そこに、高市氏の首相としての問題点があからさまに示されていると言える。言っていることとやっていることの間に矛盾があり、齟齬があるのだ。
高市氏は首相に就任したとき、「女性であることを売りにしない」「女性であることに甘えない」とくり返し述べていた。
ところが、2026年3月にホワイトハウスに到着した際、出迎えたトランプ大統領に対し、握手を交わす間もなく一目散に飛び込んでハグを交わした。それが、女性を売り物にしないと公言した人物の姿勢なのか。これには、国民の一部から強い疑問の声が寄せられた。
女性を売り物にしないと公言したことについては、日本初の女性首相としての心の昂ぶりが示されていたのかもしれない。戦後、女性にも参政権と被選挙権が与えられてから、80年も女性首相が誕生しなかったのだから、その点は割り引いて評価しなければならないのかもしれない。