国民の理解を欠く「旧宮家の養子案」
皇室典範改正の作業を麻生副総裁に丸投げしてしまったことも、それが関係しているように思われる。
国会で改正についての審議が進むなかで、今上天皇からは、「皇族数の確保のあり方についての議論においても国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」という発言が飛び出した。
これは、国会で議論されていることが「国民の理解を得られていない」ことを示唆したものと受け取られ、具体的には、旧宮家からの養子案に難色を示したものと考えられたのだ。
その後、秋篠宮からも、この問題について、「先般、天皇陛下が話されたことももっともだと、その通りだと私は思っています」という発言も出た。
つまり、天皇も、皇嗣という立場にある秋篠宮も、国民の理解を重視する姿勢を示している。旧宮家からの養子案が、その理解を十分に得られているのかが問われているのだ。
これは重大なことである。養子をとる可能性がある宮家としては、常陸宮家、三笠宮寬仁親王妃家、三笠宮家、高円宮家が想定されている。そうした宮家が、天皇や皇嗣が賛同を示していない養子を迎え入れることには、相当な困難が伴うはずだ。
改正皇室典範“機能不全”の予兆
もちろん、高市首相の側が、あるいは麻生副総裁などが、事前に天皇や秋篠宮に改正案をはかり、その賛同を得るということは、憲法の制約もあり難しい。
しかし、改正案が天皇や皇族の賛同を得られるものになっているのかどうか、その判断は政治家にもつくはずだ。
にもかかわらず、改正を強行したのは、旧宮家からの養子が可能になっても、それはあくまで制度の上でのことで、首相サイドは、実際には実現困難だと考えていたとも推測できる。
皇族の数が減っていることは否定できない事実で、今後は減りこそすれ、増える見通しはない。
だからこそ、皇室典範の改正の必要が求められたのだが、結局、改正によって設けられた制度が、十分に機能するのかは見通せない。養親側の問題もあるが、旧宮家から養子になると名乗り出る人間は今のところ、現れそうにない。