「子どもの数」は年収で決まる
金の有無で決まるのは結婚だけではありません。子どもの数もそうです。
2025年の出生動向基本調査から、妻年齢45~49歳を対象として世帯年収別の子どもの数を比較すると、世帯年収600万円未満で1.61人、600万~1000万円で1.81人、1000万円以上で1.91人です。年収の多寡で子どもの数が決定されています。
「金がなければ結婚できない。金がなければ子どもを持てない」というのは決して若者の弱音や甘えではなく、大企業勤務や公務員などの経済上位層3割以外の7割の若者を取り巻く厳しい経済環境が作り上げた現実です。さらに残酷なのは、そうした経済環境に適応しようと若者たちは懸命に夫婦ともに収入を得て、世帯年収を増やそうとしました。
しかし、皮肉にも、そうすればするほどより「結婚条件年収」はあがり続け、結果上位3割のパワーカップル化と、それ以外は「結婚相手がいない」という二極化を強固にしていきます。当然それはさらなる婚姻減を加速します。
この「結婚のインフレ」が起きたのはここ直近の10年間です。なぜなら、2015年くらいまでは世帯年収400万~500万円で十分結婚できた上に子どもも持てていました。男性の年収中央値付近の300万円台で十分結婚できていたからです。
この「結婚のインフレ」の原因は、当連載でも何度も指摘してきた通り、子育て支援偏重の少子化対策の影響は大きい。子育て支援の給付や無償化は、それがあるから「もう一人産もう」という動機にはならず、むしろ「今いる子への投資選好」が高まります。つまり、企図せず一人当たりの子育てコスト意識を高騰させてしまうことになります。
結婚も家族も「金で買う」ものに
実際、2010~2024年で比較すると、国全体の子育て支援予算(家族関係政府支出)は、倍以上に増えていますが、それと反比例して婚姻も出生も激減し、児童のいる世帯数は26%減。では、一人の母親が産む子どもの数(CPM=Children per mother)は増えたかといえば、それもたった3%しか増えていません。むしろ激増したのが無子率で43%増です。そして夫婦の世帯年収も65%もインフレしてしまった。
子育て支援偏重の少子化対策は、子育てのみならず結婚するコスト意識もインフレさせて、結果無子率をあげたというのが現実です。これは、日本に限らず、他国でも見られる現象で、「ベビーボーナス(子育て支援)政策は、かえってベビークラッシュ(出生激減)を招く」とも言われ始めています。
子育て支援そのものは否定しませんが、問題はそれしかやってこなかったことです。結果、起きたのが「結婚と家族のコスト意識の高騰」で、いわば「結婚や家族を市場化」してしまったようなものです。
「結婚や家族の市場化」が進めば、上位層しかそれを手に入れられなくなるだけではなく、結婚も家族も人間関係までも、その機能を「金で買う」ものに変えてしまう。
今の構造は、そんな未来を作りつつあります。
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