女性の根強い「上方婚」志向

これは構造上の必然です。結婚において、女性の経済上方婚志向は根強く、それは実態としても夫婦の年収バランスにも表れています。

2022年の就業構造基本調査で、初婚の半分以上を占める29歳以下の妻・子ども無しの場合の夫婦の年収バランスを見ると、「夫>妻(妻の上方婚)」が7割、「夫=妻(同格婚)」が2割、「夫<妻(妻の下方婚)」は1割です。要は、結婚する女性の9割は少なくとも自分と同格かそれ以上の経済力のある相手としか結婚しないということです。

男性も「女の経済力」を求めるようになれば、男女同格婚が増えるのでは、と思うかもしれませんが、残念ながらそうはなりません。むしろ全体マッチング総数を減らします。

たとえば、かつてのような男性500万円+専業主婦という組み合わせは少なくなり、男性500万円+女性300万円で世帯年収800万円という組み合わせを求めるようになります。男性500万円+女性500万円にならないのは、500万円の女性は700万円の男性を求めるからです。とはいえ、男性で500万円以上は上位3割でしかないという前提があります。世帯年収800万円以上がデフォルト設定されてしまうと残りの7割はとてもそこに到達しません。

「上位3割」しか結婚できない時代

かつての、世帯年収500万円程度が中央値だった時代なら、男性500万円+専業主婦でも男性300万円+女性200万円でもなんとかなっていました。しかし、世帯年収835万円が中央値となってしまうと、300万円台の中央値独身は男女とも選ばれなくなってしまいます。

つまり、男女とも経済条件を求めるようになればなるほど、中間層以下は結婚ができなくなります。そして現に今そうなっています。

夫や妻の個人年収中央値があがっている、世帯年収中央値があがっているという部分だけを見ていると見失いますが、それは年収中央値があがっているのではなく、ある一定額以上の年収がある男女しか結婚できなくなっていることを意味します。だから、世帯年収中央値があがっていても、それと反比例するように婚姻数、夫婦数は激減しています。つまり、「金がある者(上位3割層)だけが結婚できる時代」になったということです。