「昔は良かった」という話はつまらない
昔は、何もかもが大きなイベントだったんです。おじさんが「昔は良かった」とノスタルジーたっぷりに語りたくなる気持ちも、わからなくはありません。
たしかに、メールやメッセージ、SNSの出現によって失われたものもあるかもしれません。でも同時に、良くなったこともあります。
インターネットのおかげで、日本にいたら出会えなかったはずの世界の裏側の人と知り合い、メッセージをやりとりし、それがきっかけでリアルに会えることもあります。
以前ならクラスで浮いていた「変わった趣味」も、SNSでは同じ趣味の人と出会えて、それが仕事につながることさえあります。実際、今の若い人たちの多くは、学生時代にSNSで知り合って仲良くなり、付き合い始めたという話をよく聞きます。
「あの時代が良かった」こともあれば、「現代のほうが良い」こともある。結局、どの時代にも、どの世代にも、その人たちならではの楽しさがあるんだと思います。そして若い人たちは、インターネットがなかった世界をリアルには想像できません。
だから「昔は良かった」という話は、彼らにはただつまらないんですね。
1969年生まれ。徳島県出身。渋谷のワインバー「bar bossa(バールボッサ)」店主。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開設。選曲CDやCDライナーの執筆を手がけるほか、noteやメールマガジンでは飲食店経営や人生について綴ったエッセイが多くの読者の支持を集めている。2025年には本書にも所収したnote記事「日本で一番わかりやすくてためになる小さな飲食店の始め方 300万円でお店をやろう」が話題となり、note主催の創作大賞2025で入賞を果たした。著書に『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』、『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』(以上、幻冬舎)、『結局、人の悩みは人間関係』『大人の条件 さまよえるオトナたちへ』『マスター、お酒の飲み方教えてください』(以上、産業編集センター)、『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか?』(DU BOOKS)等がある。
