サラダが良いが、野菜ジュースも活用していい

サラダと一口に言っても、さまざまな種類のサラダがあります。ご自身の好みや栄養状態を考えたうえで選んでみてください。

香川靖雄『92歳、栄養学者。ただの長生きではありません!』(女子栄養大学出版部)
香川靖雄『92歳、栄養学者。ただの長生きではありません!』(女子栄養大学出版部)

たとえば、もし、緑黄色野菜が不足しているなら、「キャロットラペ」のような「にんじん」がたくさん使われているものを選ぶといいでしょうし、豆や雑穀が入っているサラダを選べば野菜以外の食材の食物繊維を摂取することが可能になります。フルーツが入っているサラダであれば、果物のビタミンを補うことができます。

ここまで「食べ物」をいくつかご紹介しましたが、「飲み物」からも摂ることができます。さきほど、日本人には野菜に含まれる栄養素が不足しているとお伝えしましたが、厚生労働省が推進する「健康日本21」(第三次)で設定されている1日の野菜の摂取目標は「350g」です。これを達成するには、緑黄色野菜を両手1杯、その他の野菜を両手2杯分摂取する必要があります。忙しいみなさんにとって難易度が高いのではないでしょうか。

もちろん野菜そのものを食べるのが基本です。そのうえでおすすめしたいのが、「野菜ジュース」です。私は自宅の冷蔵庫に野菜ジュースを常備していて、毎朝、コップ1杯程度は欠かさずに飲むようにしています。糖分が気になる人は、トマトジュースを選択するのもいいでしょう。

栄養の摂取は“朝・昼・晩でバランスよくわけて”

ここまでの文章をお読みになって、「冷やし中華を昼に食べよう」と思っていらっしゃる人も多いのではないでしょうか。最後に、「いつ食べるか」についてもお伝えしておきましょう。もちろん、昼に食べても何の問題もありませんが、実は私は夕食に冷やし中華を食べることが少なくありません。

栄養素というのは、一度に多く摂ることは避けたほうがいいのです。とくにたんぱく質は一度に多く摂っても十分に活用できません。高齢者にとって大切なのは、朝・昼・晩に均等に栄養を摂ることです。

図表1をご覧ください。これは、たんぱく質を朝・昼・晩にわけて摂った場合と、夕食に偏って摂った場合を比較した研究結果です。同じ量を摂っていても、朝・昼・晩で均等に分けたほうが筋肉合成が高いことがわかります。(Mamerow MM et al. J Nutrition 2014; 144 (6) : 876-880

【図表】食事中のタンパク質分布は健康な成人の24時間筋タンパク質合成に好影響を与える
出典=Mamerow Madonna M. et al. Dietary Protein Distribution Positively Influences 24-h Muscle Protein Synthesis in Healthy Adults, The Journal of Nutrition Volume 144, Issue 6, June 2014, Pages 876-880 筆者作成

若い人は夕食に「冷やし中華」では物足りないかもしれません。ですが、特に私のような高齢者は、栄養素の吸収、利用のスピードが落ちていますから、夜にたくさん栄養素、とくに「たんぱく質」を摂取しても、十分に活用できないのです。

仮に、夜にたくさん食べて、十分な量のたんぱく質をとっているつもりでも、朝と昼の摂取量が少ないと、筋肉等が衰えてしまって、「フレイル」(心身の活力が低下した状態)になってしまうことがあります。ですので、年を重ねれば重ねるほど、栄養は一度にとるのではなく、1日でバランスよく摂取することを意識していただければと思います。

それでは、みなさん、暑い日はまだまだ続きますが、しっかりと栄養をとって、元気に過ごしていきましょう。

構成=池口祥司

香川 靖雄(かがわ・やすお)
日本栄養大学副学長

1932年、東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業、聖路加国際病院、東京大学医学部助手、信州大学医学部教授、米国コーネル大学客員教授、自治医科大学教授、女子栄養大学大学院教授を経て、現在、自治医科大学名誉教授、日本栄養大学副学長。専門は生化学・分子生物学・人体栄養学。著書に『92歳、栄養学者。ただの長生きではありません!』『科学が証明する新・朝食のすすめ』『香川靖雄教授のやさしい栄養学』(以上、女子栄養大学出版部)、『老化と生活習慣』『生活習慣病を防ぐ』(以上、岩波書店)などがある。