愛子さまに皇位継承資格を与える選択

養親となる宮家の側も事情は同じで、養子を簡単に受け入れるわけにはいかない。天皇や皇嗣が賛同していない案件に、他の皇族が乗り出すのは極めて難しい。

こうして養子案が失敗に終わるのであれば、次を考えるしかない。養子案を推し進めてきた保守派には、次の手はまったくない。あるとすれば、旧宮家の人間を直接皇族にするやり方だが、それは養子案以上に強引な方法である。

保守派の手が尽きたとすれば、リヒテンシュタインのように絶対的長子相続制へ移行するしかない。女性天皇だけではなく、女系天皇への道を、将来に向けて開くのだ。

折しも、愛子内親王は、8月17日に都内で開かれた「第37回半導体物理国際会議」に出席し、挨拶をした。事前に、半導体テクノロジーの第一人者である東京大学の荒川泰彦名誉教授からご進講を受けているが、大学で和歌を研究した愛子内親王と半導体では、ずいぶんと距離があるようにも思われる。

しかし、現代のデジタル社会において、半導体の重要性は高まっている。この会議が日本で開かれるのは、2000年の大阪大会以来26年ぶりである。国際会議として重要であり、だからこそ、天皇家の長子である愛子内親王が出席し、挨拶したのだ。そこに、「天皇直系の長子」の重みがある。

第37回半導体物理国際会議の会場に到着された愛子さま=2026年8月17日午前、東京都新宿区(代表撮影)
写真提供=共同通信社
第37回半導体物理国際会議の会場に到着された愛子さま=2026年8月17日午前、東京都新宿区(代表撮影)

改革を進めるならば、「天皇の第1子」に男女を問わず、皇位継承資格を与えられるようにすべきである。

それこそが、未来を志向する改革である。そうした改革がなされたとき、それを象徴する愛子内親王がヨーロッパを訪れ、各国の王室と交流を深めるなら、女性を差別する傾向が残っているとされてきた日本に対する評価も、大きく変わるに違いない。

島田 裕巳(しまだ・ひろみ)
宗教学者、作家

放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『教養としての世界宗教史』(宝島社)、『宗教別おもてなしマニュアル』(中公新書ラクレ)、『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)など著書多数。