中学入試はたくさん「手を動かす」

計算練習だけなら、デジタルでいい。単純な四則計算くらいなら、積極的に活用していいだろう。しかし、さらに複雑な計算や応用問題になってくると、「どのように工夫するか」が問われてくる。ところが、デジタル教材の採点は、答えが合っているかどうかだけで、途中でどういう計算をしてきたかという過程は、判定の対象にならない。こうした採点に慣れてしまうと、思考の形跡を残すことが疎かになる。つまり、今の入試問題で求められている思考力や記述力が育ちにくくなってしまうということだ。

今後、AI採点が進化すれば思考プロセスも判定できるようになるだろうが、小学生の勝手気ままな記載を読み取れるようになるのは、まだ数年はかかるだろう。

中学入試は、たくさん手を動かす。考えるにしても、答えるにしても、とにかくたくさん書く。実はとても体力と気力がいる。

近年、未就学児に通信教育をさせている家庭が多い。勉強の入口としては悪くはないが、最近はこれらの学習もタブレットがメインになっている。タッチペンで字や図形を書くのと、えんぴつで書くのとでは、正確さも違ってくるし、筆圧も違ってくる。やはり、「書く」のはじめの一歩は、タッチペンではなくえんぴつで正しく書く練習をするべきだと考える。

子供の勉強を見る母親
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低学年のうちは紙の辞書や図鑑がおすすめ

仕事でデジタルが主流になって、漢字を忘れてしまう大人が増えているという。実生活で実際に「書く」ことが少なくなっている今、これらの勉強に必要性を感じていない人もいるかもしれない。しかし、子どもの学習は、自分の身体を通して定着していく。自分でしっかりえんぴつを持ち、とめ、はね、はらいなどを意識しながら丁寧に書く練習をすることは非常に大切で、たとえ世の中がデジタル化しても、継続していくべきことだと思う。

また、先に調べものにデジタル活用が有効だと伝えたが、低学年のうちは紙の辞書や図鑑を使うことを勧める。デジタルには写真や動画、音声といったわかりやすいものが即時に出てくるという利点はあるが、この時期に最も大切なのは、広く浅くでもいいから、いろいろなものへ興味が持てるように、子どもの視野を広げることだ。