思考力を伸ばすには紙教材が適切

例えば、すでに計算問題に苦手意識がなく、スラスラ解ける子は、ゲーム感覚で楽しく進めていけるだろう。また、覚えた知識を確認する一問一答のような問題はクイズ感覚で取り組めるため、勉強に対するハードルを下げるという良さもある。意外かと思うかもしれないが、実は丁寧に一つひとつ覚えていくタイプの子にも、デジタル教材は向いている。自分のペースで自分のレベルに合った学習をすることができるからだ。

一方で、「ああでもない、こうでもない」と考えることが好きな子には、デジタル教材は向かない。また、そういう問題はデジタルでは対応しにくい面もある。実際、現時点では、算数においては計算問題が主流だ。仮に思考力を求める発展問題をデジタルで扱うようになったとしても、どういう方向で解いていけばいいのかという最初の糸口の見つけ方までは教えてくれず、後出しジャンケンのような解説が書かれているだけになるだろう。

もちろん、紙教材にも書いているわけではない。いわゆる「紙面の都合」で省かれる解説部分は多い。ただ、紙教材は解説がうまくまとまり過ぎていないからこそ、子どもたち自身が考えていかなくてはいけない部分が残されていて、思考力を伸ばしていくには適切だと感じる。

机の上に開かれた本やノートや筆記用具
写真=iStock.com/years
※写真はイメージです

試行錯誤のための「書くスペース」

中学受験の勉強でデジタルが主流とならないのは、入試自体が紙ベースであることが大きい。特に昨今の中学受験の入試問題は、知識を問うだけの一問一答形式の問題はほぼ出題されず、思考力や記述力を問う問題に変わってきている。こうした問題は、自分の手を動かしながら、ああでもない、こうでもないと試行錯誤した末に答えにたどり着く。

そのためには、十分な書くスペースが必要だ。もちろん、デジタルでも書きながら考えることはできる。しかし、画面のサイズに制限があるため、ページをまたがってしまうことがある。すると、1枚の紙のときのように、思考の形跡を俯瞰して見ることができない。思考力を問われる問題では、これはあまりいい状態とはいえない。