「中期経営計画」に書かれている

また、企業の株主還元のページのほかに、中期経営計画の資料にも記載があることがあります。中期経営計画の期間において、株主還元の方針が書いてあることもあります。

例えば、総合商社は中期経営計画の資料に累進配当の方針を記載している企業が多い業種です。三菱商事は、「経営戦略2027」という中期経営計画の中で、累進配当の記載があります。同じように、中期経営計画の期間に累進配当を宣言している総合商社としては、三井物産、丸紅、住友商事、豊田通商、双日などがあります。

三菱商事ビルディング
三菱商事ビルディング(三菱商事本社)(写真=Kakidai/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

企業の株主還元の方針を見ていると、面白いことに、同じ業種内で似た傾向が見られます。これは、同業他社に対して見劣りしないようにしたいという企業側の意識の表れとも考えられます。

なぜ中期経営計画に累進配当の記載があるのでしょうか? それは、企業のウェブサイトに累進配当を書くと、一度記載したものをやめることが難しくなるためです。

これは業績が低迷したときにも累進配当を続けることになってしまうため、宣言するのはなかなか勇気が必要です。その点、中期経営計画であれば、一定期間に区切って方針を示すことができるため、業績の見通しとのバランスを取りながら累進配当を打ち出しやすくなります。もっとも、これは「その期間だけ実施する」という意味ではなく、中期的な状況を踏まえながら継続していくというスタンスを示していると考えられます。

「過去の配当実績+累進配当の宣言」で理解が深まる

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「配当実績」が過去の傾向なら、「配当方針」は未来の約束です。累進配当を宣言している企業は還元意識が非常に強く、安心して長期保有できます。

株主還元の方針には、累進配当のほかに、配当性向、下限配当、そして最近増えているDOE(Dividend on equity ratio:「株主資本配当率」のこと。企業が株主資本に対してどの程度配当を支払っているかを示す指標)などがありますが、減配しない銘柄を探すという観点では、累進配当を押さえることが大切です。

この累進配当の宣言と、過去の配当実績を照らし合わせることで、企業の配当方針への理解が深まります。実際に、累進配当を掲げている企業では、連続増配や連続非減配といった実績が継続しているケースが多く見られます。こうした事実を確認することで、「なぜその実績が維持されているのか」が理解できるようになります。

シバウラ
サラリーマン投資家

2013年から株式投資を始め、短期・スイングトレードで資産を拡大。2023年から高配当株投資をメインにシフト。米国株投資も行い、国内外でポートフォリオを構築し、2026年には総資産1億円を達成。本業では「社内向けAIツール」の開発に携わり、その知見を活かし株式投資での生成AIの活用に着目。Xでは高配当株投資やAIの活用を中心に情報を発信。高配当株の情報サイト「配当インベスター」を運営。LINEヤフー、週刊SPAなどメディア掲載実績多数。