中途解約は、かなり損になってしまう

保険は、加入してしまえば強制力があり、途中で他の目的に使ってしまう可能性が低く、教育費を貯めるには向いている金融商品だ。ただし、低解約返戻金型の終身保険でくれぐれも注意しなくてはならないのが、途中で解約すると、解約返戻金がかなり少なくなるということ。最後まで払い込み続けられる金額で始めるのが鉄則!

個人的には、月額1万~2万円というのが、一般的な年収のご家庭で無理なく続けられる保険料だと考えている。いくら教育費のためとはいえ、月に4万円、5万円もの保険料を15年間払い続けるのは苦しくなる時期もくるのではないだろうか(もちろん、払い続けられる家計の方は大丈夫)。

低解約返戻金型の終身保険の保障額をどのくらいにするかを決めるときには、教育費として戻ってくる額をベースに考えよう。決して「死亡保障は1000万円から2000万円くらい必要ですよね」というセールストークにうなずいてはいけない。これが定期保険なら毎月数千円の保険料ですむが、今話をしているのは終身保険。毎月数万円の保険料が必要になる。終身保険の場合は、保障額に近い金額を払わないといけない貯蓄型の保険だということを認識しておこう。

すべての教育費を保険で準備しようと考えずに、一部を保険で、一部を預貯金などで分散して準備するのが、バランスのとれた、また、いざというときにもお金を減らさずにすむ賢いやり方。

保険を売る方の事情を考えてみる

最後にひとつ。保険の営業員や代理店から見ると、「学資保険の契約をとって得る手数料より、終身保険の契約をとって得る手数料の方が多い」ということは知っておこう。もちろん、高額の契約の方が手数料は多くなる。もし、高額の終身保険を熱心にすすめられても、自分が払えるだけにしておかないと、損をするのは自分だ。

また、学資保険に加入した場合にも注意点がひとつ。「子どもが生まれたら学資保険」というのは、今の若いお母さんにも浸透しているらしく、学資保険は、お客さんのほうから入りに来てくれる商品となっている。学資保険は業界内では「ドアノック商品」と呼ばれていて、学資保険に加入した家庭にほかの死亡保険や医療保険を売るきっかけになる商品として位置づけられている。学資保険に入ったら、ほかの保険のセールスが頻繁にくる可能性もあるので、気をつけよう。もちろん、必要なものには加入してもいいのだが、入りすぎると、貯蓄ができなくなってしまうから。

フリーライター 生島典子(いくしま・のりこ)
投資信託の運用会社、出版社勤務を経て独立し、2004年よりライター・編集者として活動。子育て、家計、住まい、働き方などが主な執筆テーマ。好きなことは、出産と住宅ローン。3人の子どもを助産院で出産した経験あり。