真面目で優秀な社員から先に辞めていってしまう

経済学には「悪貨は良貨を駆逐する」という法則がありますが、これは現代の組織風土にもそのまま当てはまります。職場に有害なエースが存在するとき、最初に限界を迎えて去っていくのは、実は会社を支えている「誠実で優秀な社員」なのです。彼らは責任感が強く、チームのために尽くそうとします。だからこそ、有害なエースが撒き散らす不機嫌やマウントに誰よりも傷つき、疲弊してしまいます。

最近ではフキハラ(不機嫌ハラスメント)といって舌打ち、ため息、あからさまな無視、威圧的な態度などで周囲に不快感や精神的プレッシャーを与える行為を忌み嫌う風潮も出てきました。そうした理不尽を会社が「成果を出しているから」と放置しているのを見ると、真面目な社員ほど「この会社に自分の未来はない」と見切りをつけ、静かに、そして真っ先に離職を決意します。結果として職場には、有害な人と、それに怯えて思考を止めた人だけが残るという、最悪の悲劇が起こるのです。

この問題の根深さは、後からの「育成やマネジメント」では取り返しがつかない点にあります。どんなに優れた理念教育やリーダー育成研修を行っても、一度染みついた有害な行動パターンを変えることは極めて困難です。つまり、組織を守る最大の防壁は「採用」にあります。「能力が高いから」と妥協せず、理念に共感し、周囲と良好な関係を築ける人を選ぶこと。入り口での見極めを誤らないことこそが、誠実な社員が安心して活躍できる、健全な組織風土づくりの大前提なのです。

手を重ね合わせるビジネスチーム
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“イヤな奴”の本性を見抜く「キラー質問」

採用の場において、履歴書の見事な実績や、洗練された面接の受け答えだけで相手の本性を見抜くのは至難の業です。特に自己中心的な人物ほど、自分を優秀に見せる「正解」を用意しています。そこで重要になるのが、能力ではなく、その人の「人間性」や「価値観」をあぶり出す独自のキラー質問です。

例えば、「最近、仕事で感動したことは何ですか?」「チームで仕事をして、嬉しかったことは何ですか?」といった問いを投げかけてみます。さらに一歩踏み込んで、「その時、周囲のメンバーはどんな反応をしていましたか?」「その成果の裏で、誰に一番感謝を伝えたいですか?」と尋ねるのも効果的です。

これらの質問には、マニュアル通りの正解がありません。主語が「自分」ばかりで周囲への感謝がない人や、他者への共感力が著しく低い人は、こうした問いを向けられた際、途端に言葉に詰まったり、中身のない表面的な綺麗事でお茶を濁したりしがちです。

大切なのは、何を大切にし、どんな関係性に喜びを感じるのかという、その人の「心の根っこ」を探ること。仕事のスキルは入社後でも磨けますが、他者を尊重する姿勢を後から植え付けるのは困難だからです。