大切なのは「振り返り」
そこで、大切なのが振り返りだ。例えば、家に帰ってから、スマホで撮った写真を整理し、思い出ブックを作ってみる。こうしたサービスを利用するのもいいし、今は自分でも簡単に作れる。そのときに「ここでこんなことをしたね。あれを食べたね。それから、あそこにも行ったね。そのとき、こうだったよね」と親子で会話を楽しむ。このやりとりが、記憶を確かなものにしていく。
子どもにインパクトを与えるのは、外国だけではない。大自然での体験は、視覚や味覚だけでなく、体全体に身体感覚として残る。例えば登山をしていて、ついさっきまで快晴だったのに、突然、立っていられないようなどしゃぶりに見舞われることがある。こうした体験は、「山の天気は舐めてはいけない」と恐怖とともに記憶に残る。
田舎へ帰省もおすすめだ。核家族が主流な都会の子どもたちは、親と先生(塾や習い事も含む)しか大人を知らないことが多い。それよりもさらに上の世代の人が、これまでどのような人生を歩んできたか聞いてみるのもいいだろう。
あらたまって聞きにくいという場合は、例えばおじいちゃん、おばあちゃんに肩たたきをやってあげる。すると、面と向かって話すよりも、自然と会話が生まれやすい。自分が知らない時代の話を聞くことは、他者理解を深める。何でも勉強に結びつける必要はないが、国語の物語文を読むときの共感力につながるだろう。
場所が変わるだけで「景色」が変わる
長年、中学受験の指導にあたって感じることは、今の子どもたちは非常に忙しい。昔は中学受験をするにしても、5年生くらいから準備をすれば十分だった。しかし今は、中学受験塾のコースが始まる4年生以前から、いろいろな習い事や学習系の教室に行かせている家庭が多い。
タスクに追われる毎日は、人を鈍感にさせる。大人でもそうだが、東京にいると空を見上げることが少なくなる。でも、大自然や田舎に行くと、自然と目が上に向く。そして、「夏らしい雲だな」と季節を感じる。場所が変わるだけで、見える景色が変わってくる。いつもと違う場所に行くことは、大人にとっても子どもにとっても良いことだと思う。
見方が変わるという点では、自分で写真を撮ることもいい。写真を撮ることによって、目の前にあるものの焦点が絞られ、じっくり見ることができるからだ。また、角度を変えることで、違うものも見えてくる。そして、さまざまな気づきをもたらす。


