笑いを生む当意即妙な愛子さまの知性
御厨氏は、政治家などに聞き書きをする「オーラル・ヒストリー」について講義をしたのだが、その懇談の席で、アメリカのトランプ大統領の話題に触れた。「トランプさんのような方は、オーラル・ヒストリーに向かないんですよね」と。
これには天皇と皇后は困った顔をしたという。なにしろ、大統領を国賓として迎える立場にあるからである。そのとき、すかさず愛子内親王は、「ご自身だけがお話になり、人の言うことをあまりお聴きにならないからですね」と応じたという。このやりとりは週刊誌でも報道されたが、懇談会場はそれで笑いに包まれたという。
こうした当意即妙のやり取りができるところに、愛子内親王の才能がある。
だからこそ、天皇と皇后が懇談の席に同伴させたのであろう。というか、むしろこの席での「実績」があったことで、愛子内親王を天皇一家の中心に据えることに、天皇と皇后は自信を深めたのではないだろうか。
御厨氏との講座を聴講していた知り合いの編集者は、この話を踏まえ、今の政界や経済界はダメダメなので、ふたたび大政奉還をして、一代限りの「愛子天皇親政」でいいのではとまで言っていた。親政とは、天皇が政治上の権力を直接ふるうことを意味する。
もちろん、今の憲法の下では、そんなことが実現されるはずはない。「象徴天皇制」から大きく逸脱するからである。
国民はそれほどバカではない
しかし、時間を追うにつれて、「愛子天皇」待望論が高まりを見せてきたのは、大学卒業後、愛子内親王が公務にたずさわる機会が増えることで、その実像が国民のあいだに広く知られるようになったからである。
しかも、天皇家の意思も、より明確になってきた。
今後の天皇家は愛子内親王を中心にする。それは、愛子内親王が実質的に、日本の象徴、日本国民統合の象徴になったことを意味する。つまり、本来天皇が果たすべき役割を代わって果たすようになったということである。
朝日新聞の世論調査で、女系天皇を認める声のほうが女性天皇よりも上回ったのも、それが関係する。保守派は、「国民は、女性天皇と女系天皇の違いがわかっていない」と主張してきたが、国民はそれほどバカではない。
今や、多くの国民が男系での皇位継承ではなく、女系での継承を望んでいる。それも、愛子内親王のような賢い女性が選んだ男性なら皇族にしてもかまわないし、ましてその子どもであれば、男女を問わず、次の天皇にふさわしいと考えられるようになったからである。
「愛子天皇」待望論は、今や新しい段階に突入している。
放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『教養としての世界宗教史』(宝島社)、『宗教別おもてなしマニュアル』(中公新書ラクレ)、『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)など著書多数。