「養子」「養親」とも高いハードル

もちろん、③は旧宮家系の当事者が自ら手を挙げなければ空振りに終わる。国民としての自由や権利が大きく制限される一方で、重い責任を背負い、一挙手一投足が人々から注目される。なので、婚姻という心情的・生命的な結合を介さずに皇室に入るハードルは、かなり高い。

そのため、養子に誰も手を挙げない可能性もあるし、それでも手を挙げる人がいれば「野心家なのか」という疑念の声も耳にすることになるだろう。

皇室で養子を迎え入れる「養親」にはどなたがなられるのか、という問題もある。今の皇室の構成を見ると、常識的に考えるとこれも難題だろう。

当然ながら内廷(天皇ご一家と上皇上皇后両陛下)と秋篠宮家は除外される。ご高齢の常陸宮家も難しく、未婚の女性皇族がおられる三笠宮家や高円宮家も不自然だ。

そうすると、残るのは寛仁親王妃家の信子殿下だけ。しかし、妃殿下のこれまでのなさりようから、進んで同意されることは想定しにくい。

万が一、養親の候補に信子妃殿下のお名前が挙がるとしたら、養子縁組プランを推進してきた自民党の重鎮、麻生氏の実の妹にあたられる血縁から、政治色が濃くなりすぎる。

明確に否定されていた「養子縁組プラン」

そもそも旧宮家系養子縁組プランについては、平成時代に政府に設置された「皇室典範に関する有識者会議」の報告書(平成17年[2005年])で、明確に否定されていた。

「国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難である」と。

その後、この指摘をくつがえすだけの事情の変化があったとは考えにくい。

天皇皇后両陛下にお子さまの敬宮殿下がおられ、そのお人柄とご献身によって現に多くの国民から共感と期待を集めておられる。ほかにも、ご公務に精力的に取り組んでおられる複数の未婚の女性皇族方がおられる。

にもかかわらず、すでに民間人として長い歳月を経て世代も交代しており、男系の血筋としてもほぼ他人というしかない人たちを、あえて養子に迎えて、そちらに皇室の将来を任せようとする“逆立ち”したプランが、高市内閣の下で制度化されようとしている。

なぜ、こんなチグハグなことになるのか。