学校は子どものための“福祉的資源”

普川くみ子『3万人の親子に寄り添ってきたスクールカウンセラーが伝えたい 10代の子どもの心の守りかた』(実務教育出版)
普川くみ子『3万人の親子に寄り添ってきたスクールカウンセラーが伝えたい 10代の子どもの心の守りかた』(実務教育出版)

――子どもが不登校になったとき、親は学校とはどのように関わっていけばよいのでしょうか。

不登校になると学校と連絡を取る機会も減り、社会から切り離されたような孤立感を抱くご家庭も少なくありません。ただ私は、親御さんや子どもたちに「学校に行けないからと遠慮せず、学校を活用してください」とお伝えしています。

とくに義務教育の学校は、教育以外にも給食や保健など、子どもにとって手厚い「福祉的な機能」を持った場でもあります。さまざまな形で子どもと関わり続けることができ、必要に応じて多様な支援につながる力も持っています。

だからこそ、問題を家庭だけで抱え込むのではなく、今、必要としていることを学校と共有しながら、「どのように学校に支えてもらうか」を一緒に考えていくことが大切です。

たとえば、長く学校に行けていない中で勉強が心配でも、すべてを一度に取り戻そうとすると負担が大きくなってしまいます。そういうとき、子どもに「英語だけ少しやりたい」といった希望があれば、それを無理のない形で学校に相談してみる。そうした関わり方も一つの方法だと思います。

不登校でも「教育を受ける権利」を活かそう

――学校に行かず要望だけを出すのは、忙しい先生に対して申し訳ない気がしてしまいますが、よいのでしょうか。

遠慮しすぎる必要はありません。子どもの学びを支えることは、学校や教員の大切な役割の一つですから。

勉強している女子学生と教師
写真=iStock.com/b-bee
※写真はイメージです

たとえば、「少し勉強を始めたいけど、何から手をつけていいかわからない」というときには、「週に1回、ここまでやってみよう」といった形で、学習の見通しを教員と一緒に立ててもらうこともできます。今は学習動画などの選択肢も豊富ですから、そうしたものを組み合わせながら、その子に合ったやり方を考えることもできるはずです。

また、その時々の子どもの状態に応じて、周囲との関わり方を柔軟に考えることも大切です。学習に取り組む時期もあれば、人と話すことが回復につながる時期もありますし、好きなことに没頭することが力になる場合もあります。

教室に行けるかどうかだけで考えるのではなく、「その子が少しでも元気になれる関わりを、学校の中でどう作っていくか」という視点で学校の資源を活用していくことが大切です。

その際は、一方的にお願いをするのではなく、「この子を元気にするために、私たちがどう関われるかを一緒に考えていただけませんか」と伝えていくこと。その協働関係ができると、学校とのやりとりもぐっと進めやすくなります。