わが子が不登校になった時、学校とどのように付き合えばいいのか。スクールカウンセラーの普川くみ子さんは「学校への関わりが減り、社会から孤立したような感覚に陥るご家庭は少なくない。学校は行くべき場所ではなくなったが、子どものために活用してほしい」と説く。関わった不登校の8割が自ら動き出した“子どもとの接し方”を聞いた――(前編)。
学校の教室
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「不登校増加」は学校問題が顕在化しただけ

――不登校の中高生は毎年右肩上がりに増えて、35万人に上っています。なぜこれほど増えているのでしょうか。

確かに増えていますね。ただ、私は、不登校の増加の原因について、最近子どもが弱くなったり、親御さんの育て方が変わったことが理由ではないと感じています。不登校が増えたというより、むしろ不登校という状態が「可視化」されるようになったのだと思います。

『3万人の親子に寄り添ってきたスクールカウンセラーが伝えたい 10代の子どもの心の守りかた』(実務教育出版)著者の普川くみ子さん
3万人の親子に寄り添ってきたスクールカウンセラーが伝えたい 10代の子どもの心の守りかた』(実務教育出版)著者の普川くみ子さん(提供=実務教育出版)

以前は多少苦しくても学校には行くべきものとされ、登校できていること自体が分かりやすく評価される時代でした。そのため、親御さんも必死に子どもを学校へ連れて行こうとしていたのだと思います。

しかし時代の変化とともに、子どもを一人の個人として尊重するという考え方が、少しずつ広がってきました。その変化の中で、子ども自身が「行けない」「行かない」という思いを言葉にできるようになってきたのだと思います。

これまで家庭や学校の中で見えにくかった子どもの苦しさが、ようやく表に現れてきた――そうした変化として捉えています。親御さんも、こんなに苦しんでいる子どもを無理に行かせていいのだろうかと立ち止まり、「登校だけが正解ではないのかもしれない」と考え始めるようになっています。

2016年12月に「教育機会確保法(正式名称:義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)」が成立したことをきっかけに、文科省も不登校児童・生徒の多様な学びを認め、不登校を問題行動として扱わず、登校をゴールにしないという方針を明らかにしました。こうしたなか、かつて“登校拒否”と呼ばれていた現象が、「不登校」という形でようやく表に見えるようになってきたのだと考えています。