「いい男がいないなら結婚しない」という選択
さらに注目すべきは、女性の意識の変化です。
国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、未婚女性の約8割は「いずれ結婚するつもり」と回答しています。
しかし同時に、「理想の相手(=いい男)が見つからなければ結婚しなくてもよい」と答えた割合は52%にのぼります。
これは大きな変化です。かつては「とりあえず結婚する」が当たり前でしたが、今は違います。「いい男と結婚できないなら、無理に結婚しない」という選択が、現実的で合理的なものになっています。
その背景にあるのが、女性の経済力の上昇です。収入やキャリアを持つ女性にとって、結婚は必須ではなくなりました。
その結果、「いい男不足」×「結婚しなくても生きていける」という組み合わせが、未婚率を押し上げている可能性があります。
「いい男不足」をどう解決するか
これまで見てきたとおり、日米ともに社会変化に伴い、女性から見た「いい男」が構造的に不足するようになっています。
この「いい男不足」は解決できるのでしょうか。
結論から言えば、個人の努力だけで解決できる問題ではありません。必要なのは、結婚市場の前提そのものを変えることです。
方向性としては、「いい男」の定義そのものを現実に合わせて更新することです。
現在の「いい男」は、依然として「高収入・高学歴・安定職」という点を重視していますが、これ以外にも家事・育児への参加度、柔軟な働き方、メンタルの安定、対話能力といった要素も加味するよう基準を変えていくわけです。
共働きが一般化した現在、「いいパートナー」として上記の要素は重要だといえるでしょう。
<参考文献>
(*1)OECD (2024), Society at a Glance 2024: OECD Social Indicators, OECD Publishing, Paris,
(*2)Lichter, D.T., Price, J.P. and Swigert, J.M. (2020), Mismatches in the Marriage Market. J. Marriage Fam, 82: 796-809.
(*3)内藤朋枝・八代尚宏(2025)「夫婦間の学歴の非対称性が結婚行動に及ぼす影響」内閣府経済社会総合研究所『経済分析』第211号、pp.143-164.
1982年生まれ。慶応義塾大学商学部、同大学院商学研究科博士課程単位取得退学。博士(商学)。専門は労働経済学・家族の経済学。近年の主な研究成果として、(1)Relationship between marital status and body mass index in Japan. Rev Econ Household (2020). (2)Unhappy and Happy Obesity: A Comparative Study on the United States and China. J Happiness Stud 22, 1259–1285 (2021)、(3)Does marriage improve subjective health in Japan?. JER 71, 247–286 (2020)がある。