愛子さまへの「継承」を望む今上天皇
今上天皇夫妻としては、現在の制度がある以上、愛子内親王に「天皇に即位してほしい」とまでは望んでいないかもしれない。
それでも、たとえ結婚したとしても、皇室から離れてしまうのではなく、皇族として、あるいはそれに近い立場で活動を続け、自分たちが行ってきたことをしっかりと受け継いでほしいとは考えているはずだ。
ただ、天皇については、日本国憲法の第4条で、「国政に関する権能を有しない」と定められており、皇位継承の問題や皇族のあり方について発言することは封じられている。皇后については、そうした規定はないが、それに準じると考えられている。
これが天皇以外の皇族になると多少緩和されるところもあり、事実、三笠宮家の寛仁親王などは生前、「男系での皇位継承」を揺るがせにしてはならないと女性天皇に反対するだけではなく、実現は難しいとしながらも、側室制度の復活さえ主張していた。
「女性宮家の創設」は喫緊の課題
今上天皇は、上皇が、憲法の規定を無視する形で生前退位の意向を表明し、それが大変な騒ぎになったことを熟知しているので、発言には極めて慎重である。
ただ、愛子内親王への継承というところに力を注いでいることは、一つのメッセージとして受けとる必要がある。
その上で、御厨氏も主張しているように、国会は養子案だけではなく、女性宮家の案についても協議を重ね、その実現を図るべきである。
少なくとも、女性皇族が結婚するにしても、しないにしても、将来どういった道を歩んでいったらいいのかを示すことは不可欠である。これまでのところ、その点についての議論はまったく行われていない。
果たしてそれでいいのか。議論は制度のことばかりになり、人間としての天皇や皇族の心を察するものにはなっていないのである。
放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『教養としての世界宗教史』(宝島社)、『宗教別おもてなしマニュアル』(中公新書ラクレ)、『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)など著書多数。