高市首相の方針への政治学者の批判

そんななか、福島県に一家が出発した4月6日の「朝日新聞」朝刊には、政治学者の御厨みくりや貴氏のインタビューが掲載された。御厨氏は、上皇の生前退位の際に特例法を制定するための有識者会議で座長代理をつとめている。

その会議の報告書には、「附帯ふたい決議」がついており、そこでは、「政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること」と明記されていた。

ところが、皇室典範の改正に意欲を示している高市首相の方針では、むしろ旧宮家の養子案を最優先している。

御厨氏は、これについて、それは有識者会議とそれにもとづく与野党協議において、女性宮家の創設と養子案双方について議論してきたことを覆すものだと批判している。もし養子案を採用しようというのであれば、改めて国会議員以外からも幅広く意見を聞く会議体を設ける必要がある、というのである。

未婚の女性皇族の曖昧な立場

国会では、こうした問題についての協議が4月15日から再開されることになっており、その行方が注目される。

養子案で話がまとまるとすれば、女性宮家の創設は見送られ、女性の皇族は結婚したら皇室を離れることになる。皇室典範では、第12条において、「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と定められているからである。

現在の皇室典範は、女性天皇を認めていないだけではなく、皇室に生まれた女性が、ずっと皇族として活動することも認めていない。しかも、結婚せずに皇室に留まることは想定されておらず、未婚である内親王や女王の身分は曖昧なものになっている。

もし愛子内親王が近々結婚すると、皇室を離れることになり、それ以降は、皇族としての活動はできなくなる。

もちろん、それで皇室との関わりがまったくなくなるわけではない。今上天皇の妹である黒田清子さやこ氏が天皇家ゆかりの伊勢神宮の祭主となったように、元皇族としての活動の余地はある。ただ、実際の活動はそうしたことに留まるとも言える。

果たしてそれでいいのか。それが問われるのである。

2012年1月2日、皇居における「新年一般参賀」の様子
2012年1月2日、皇居における「新年一般参賀」の様子(写真=ぱたごん/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons