生前退位時のような“キーパーソン”がいない

石破政権下、自民党最高顧問だった麻生さんと立憲民主党代表だった野田佳彦さんが、①と②を水面下で協議したという。麻生氏は「女性皇族が旧11宮家の男系男子と結婚した場合に限って、皇族の身分付与を認めるべき」と主張、それはあまりに限定的だと野田さんが代替案を示したが、「将来の女系天皇につながりかねない」と受け入れなかったそうだ(朝日新聞25年6月21日朝刊)。

高市政権発足直後、あるベテランの宮内庁記者に安定的皇位継承の国会審議の行方を聞いてみた。その人が最初に言ったのは、「皇室の課題というのは、多数決で決めるものではないんです」だった。そして「今、大島理森さんのような人が国会に見当たらない」とも言っていた。

大島さんは、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」(2017年)が可決された時の衆院議長。衆参両院とも全党、全会派一致(退席した自由党を除く)で可決された。それができたのは、与野党から信頼の厚い大島さんだったから、という意見だった。

15年から21年まで議長を務め、大島さんは政界を引退した。現在の衆院議長は森英介さんだ。議長就任の決め手は、高市首相の皇室典範改正への意欲とされている。森さんは麻生派の事務総長。高市&森・麻生連合で「男系男子の養子縁組」まっしぐら? だとすれば「愛子天皇待望論」はどうなる?

令和7年12月5日、高市総理は、総理大臣官邸で世界銀行グループのアンジェイ・バンガ総裁及び世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長による表敬を受けました
令和7年12月5日、高市総理は、総理大臣官邸で世界銀行グループのアンジェイ・バンガ総裁及び世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長による表敬を受けました(写真=内閣官房内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

高市首相の“無理”が伝わってくる

と、ここで『文藝春秋』に戻る。インタビューをしたノンフィクション作家の石井妙子さんは、「男系男子ゴーゴー」ではなかった。「天皇の子孫であることが重要で、男性も女性も同等に尊い」と考えられないか、「価値観の変化に合わせるなら、女性が帝位を継ぐ」議論もあるのでは、と二度にわたって聞いている。高市さんの答えは同じだった。

「私は女性天皇に反対しているわけではありません。女系天皇に反対しています」。

石井さんは「国民の間では女性に天皇になって欲しいという『待望論』が強まっている」と食い下がった。「待望論が強まっていますか? 私は承知していません」と高市さん。逆に、それは内閣府のアンケートかと質問した。

石井さんは19年のNHKのアンケートの数字(「女性天皇賛成が74%」など)を示した。高市さんはまた「その調査については、私は承知しておりませんが」として、貴重な皇統を絶やすべきでないと持論を展開する。が、こうも言った。

「私は、女性天皇に反対する立場ではありませんが」。そしてこう続ける。「現実的には女性が皇位を継がれることは、大変だろうと想像しています」

(※)NHK放送文化研究所「新時代の皇室観~『皇室に関する意識調査』から~