「印象に残ること」の大切さ

当時は、どの雑誌にも「読者アンケートはがき」が付いていました。そのアンケートにはスタイリングの人気投票があり、毎号、「好きなコーディネート」「嫌いなコーディネート」が発表されていました。

編集長が言うように、嫌いなコーディネートに入るのは決して喜ばしいことではありません。それでも多くの読者に、「あれは全然好きじゃなかった」という印象を強く残したことだけは確か。好きなコーディネートにも嫌いなコーディネートにも入らなかったページよりもずっといい、というわけです。

これは、個人にも当てはまる話ではないでしょうか。

長友妙子『信頼を着る 第一印象で選ばれる女性の「装い戦略」』(三笠書房)
長友妙子『信頼を着る 第一印象で選ばれる女性の「装い戦略」』(三笠書房)

「印象に残らない人」は、知らないうちにチャンスを遠ざけているかもしれません。

そこで、「上質」「洗練」「華やかさ」が必要となるのです。

もう少し解像度を上げると、私の考える「上質」とは、カシミヤやシルクのような「素材のよさ」、「洗練」とは「無駄のないデザインやシルエットのバランス」、そして「華やかさ」とは「光沢感とつややかさ」のことです。

たとえば、同じ「ブラックのスーツ+ホワイトのシャツ」という組み合わせでも、この3要素を取り入れるだけで、その完成度は大きく変わります。“トレンドが感じられる上質な”スーツに、“光沢感のある”ホワイトのシャツを合わせるだけで、一気に「印象に残る」装いに変わるのです。

キーワードは「上質・洗練・華やかさ」

「信頼をまとう」の基本は「ベーシックを着こなす」ことです。

第一印象で信頼を得る装いは、「ベーシックなのに無難ではない」と言っていいでしょう。

だからこそ、服を買うときは、常に「上質」「洗練」「華やかさ」を念頭に置くこと。

・シンプルなホワイトのカットソーでも、首周りの始末が美しく仕上げられている
・シンプルなネイビーのカーディガンでも袖口、裾などにトリミングが施されている
・シンプルなグレーのニットでも、控えめなラメ糸が編み込まれ、光沢感がある

形がシンプルなアイテムでも、さりげなく、それでいてひと味違ったデザインであれば、「洗練」された印象になります。

「神は細部に宿る」と言いますが、ファッションにおいてはまさに「美は細部に宿る」。細かな部分へのこだわりこそが、全体の価値や美しさを決定づけるのです。

服を買うときは、色や形だけでなくディテールにまでこだわる。決して華美でも派手でもなく、計算された「さりげなさ」を大切に選んでください。

長友 妙子(ながとも・たえこ)
ファッションコンサルタント/エグゼクティブスタイリスト

1983年、スタイリストデビュー。「流行通信」でディレクション&スタイリングを担当。竹内まりや本人からCDジャケットのスタイリングをオファーされたことを機に、芸能界からの依頼が殺到。その後、『CLASSY.』(光文社)、『Precious』(小学館)、『家庭画報』(世界文化社)などの有名女性ファッション誌で表紙や巻頭特集を担当。テレビ・CM・広告・イベントでも第一線のスタイリストとして活躍。2021年に共著『繊細な人の仕事がうまくいくファッションのルール』(光文社)出版。2022年より「長友スタイル~ビジネスが成功する着こなし~」講座をスタート。