日本の空き家事情は世界でバズっている

実はアントンさんの活動には世界からも注目が集まっており、インスタグラムのフォロワーは111万人以上(うち、90万人ほどが海外在住の外国人だそう)。今や世界中で「家が買えない問題」は現役世代の困りごとになっていて、日本の空き家事情がバズっているのだ。

日本の不動産業界の問題点、ペアローンで身の丈に合わないタワマン、空き家を購入して本当に快適に住めるのか――。アントンさんに、現役世代が気になる住宅事情の諸問題をぶつけた。

日本のタワマンは「無個性」

まずアントンさんに聞いたのは、昨今の東京都内の住宅価格の高騰である。一部にはバブルと見る向きもあるが、アントンさんはこれを真っ向から否定する。

「東京は世界でも有数の経済都市。ニューヨークやロンドンで15年ほど前から住宅価格が高くなっていたことを考えると、今でもまだ日本は安いほうです。さらに日本は世界と比較しても、金利も異常に安く、圧倒的に住宅ローンを借りやすい国です。インフレで建築にかかるコストもうなぎのぼりに上がっていくでしょうし、家を買うなら早いほうがいいでしょうね」(ウォールマン氏)

一方、アントンさんは空き家を含めた中古物件の「リノベーションブーム」がこれから日本で盛り上がると予想する。住宅価格を含めたインフレに賃上げが追いつかず、庶民にとって新築は高嶺の花になるからだ。そして、同氏はそれを「良い流れ」と評価する。

「2019年に空き家ビジネスをはじめて以来、何百軒の新築一軒家・マンションを回りましたが、正直言ってつまらない。全部同じ間取り、同じクロス、同じフローリング……個性がないのです。品質も正直微妙な物件もあります。10億円のタワマンでもプラスチックの床タイルを使っていてびっくりしました。日本人の住環境への美意識を僕はすごく尊敬していて、日本の古い家では畳や無垢のフローリングなど、自然素材をいかした住みやすい空間をつくっていたのに。せっかく人生の長い時間を家で過ごすのだから、内装にはもっとこだわって個性を出すべきだと思います」(ウォールマン氏)

アントンさんこだわりのバスルーム。岐阜県多治見市のタイルを使っている
写真提供=アントン・ウォールマン氏
アントンさんこだわりのバスルーム。岐阜県多治見市のタイルを使っている