“私基準の美”をもちアップデートを欠かさない
私が円熟期に入った頃だと思います。若者の街・渋谷を歩いていたとき、若い世代は我が物顔で闊歩しているのに対して、私と同世代の女性たちが肩身の狭い思いをして歩いていることに気がつきました。自分に自信がなく、誰も私のことなんて見ていないだろうと、まるで空気のように自分を扱っていると感じました。私は、女性が自分らしく輝き、元気で生きていくことが世界を大きく変えると信じています。逆に女性が力を発揮することができなかったら、その国は貧しくなるだろうとすら思っています。
あれから時が経ち、年齢を重ねた女性たちの、個性あふれる美しさがよりクローズアップされる時代になりました。なかでも、2013年に発売された写真集『Advanced Style』(大和書房)は、エポックメイキングな存在だったと思います。
人は加齢により、肌質や体形が変わっていくのは当然のことです。その変化をしなやかに受け入れ、ほかの人にはない自分だけの個性として認識し、唯一無二、かつ成熟したおしゃれへと昇華させていく。そんな大人の女性たちの姿は、世界中の人々に勇気を与えてくれました。
私はこう想像します。彼女たちはおそらく“私基準の美”をしっかりもっていて、そのアップデートを欠かすことがなかったのだろうと。最初にお話しした「美とは、自分で探し、自分で発見し、自分でつくり上げるもの」という価値観をナチュラルに備えていて、実践してきた女性たちなのだろうと。
“かっこいい”は今の人生のすぐ隣にある
私がイメージするかっこいい大人とは、ヘアもメイクもファッションも完璧にキマっている女性、ではありません。目の前のこと一つひとつに愛情をもって、ていねいに取り組んでいる女性。遠い未来ではなく半歩先を見つめて、小さなアップデートを欠かさない女性です。“かっこいい”とは難しいものではなくて、今の人生のすぐ隣にあるものなのです。そのためにやるべきことがあります。それこそが「日々、整える」こと。これはヘアメイクアップアーティストとして、プロたちの肌に触れてきたから言えることです。
私たちがどんなにかっこよく仕上げようとしても、本人の毎日のケアがなければ、本当の美にたどり着くことはできません。一方、肌や髪、体のセルフケアを怠らずに実践している人は、その積み重ねが自信となって全身に満ちあふれている。だから少し手をかけてあげるだけで、キラキラと輝き始めるのです。
