「間人ガニ? いや、富山の漁師が一番だと思う」
実際に知人が開いた会を見てみよう。
冬には「最高級ズワイガニを活きたまま用意して楽しむ会」や「日本全国のブランド牡蠣を食べ比べ」。夏には「最高級の花咲蟹を活きたまま取り寄せる会」。
また、人数が多い場合やビーガン対応が必要なときは、スペシャルオーダーのケータリングを手配することもあるという。
契約農家から仕入れたオーガニック食材と季節の野菜を中心に、細かくヒアリングを行った上で厳選した食材のみで構成される。
「食べた後に体が軽くなる」「翌日のエネルギーが違う」――そんな“食を通じたセルフケア”を重視する富裕層には、身体をいたわる食事こそが究極のラグジュアリーなのである。
なぜ、予約困難店ではなく、自宅のサロンでゲストをもてなすのか。
「蟹の話は象徴的だ」と彼は言う。
間人ガニ。もちろん最高級品である。だが「全部食べ尽くした上で」一番良いと思えるのは、富山湾の漁師――取れない場合は金沢の漁師――が「これが一番いい」と太鼓判を押したズワイガニだという。
興味深いのは、値段だ。間人ガニは高級なものだと、1杯20万円を超えるものもある。しかし、富山のは漁師ルートで、およそ3万円。ただし、漁師とのルートがなければ、たとえ25万円出しても手に入らない。
“ブランドや金額の高さ”と“味の良さ”とは、必ずしも一致しないのだ。
だからこの会には、ブランドに流されず、味の判断ができる人間だけを呼ぶ。参加者は皆、感動する。そして何年経っても「いやあの蟹はうまかった」と語り継ぐ。
結局これは、食べ物以上に「体験を共有する場」なのだ。