キーパーソンは衆院議長
ただし皇室典範の改正については、他の法律と違って「立法府の総意」が前提となる。国民の総意に基づく「国民統合の象徴」という天皇の地位に関わる制度の変更なので、単純多数決によって数の力で押し切る乱暴なやり方は、何としても避けなければならないからだ。
このあたりの事情は、上皇陛下のご退位を可能にした「皇室典範特例法」が“ほぼ全会一致”で可決されるまでの経緯を振り返ると、納得できるだろう。
その立法府の総意を取りまとめるキーパーソンは、衆参両院の正副議長たちだ。とくに衆院議長の役割は大きい。
その衆院議長に、これまで立法府の総意づくりのために野党との交渉役を務めてきた麻生太郎自民党副総裁の信頼が厚い、森英介元法相が就任した。これは、政府・自民党が皇室典範の改正に本腰を入れようとしていることの表れだろう(ただし、中立であるべき森議長が自民党サイドに肩入れしすぎて公正さを欠くと、立法府の総意の取りまとめが遠のきかねないが……)。
与党公約の「旧宮家養子縁組プラン」
今回の国会中に皇位継承問題に一区切りがつくとしたら、どのような決着が図られるだろうか。
今、立法府の総意づくりのために議論のテーブルに載っているのは、2つのプランだ。多くの国民が求めている「女性天皇」という選択肢は、あらかじめ除外されている。
②いわゆる「旧宮家」は、男系の血筋では約600年前の南北朝時代までさかのぼらないと現在の皇室とつながらず、80年近く前の被占領下に傍系として皇籍離脱を余儀なくされた。その系統の親の代からすでに一般国民の男性を、皇族には禁止されている“養子縁組”をあえて解禁し、新しく皇族とする。歴史上、前例のないプランだ。
どちらも皇位継承の安定化にはつながらない。皇族数の減少を目先だけ緩和しようとする弥縫策にすぎない。
これらのうち、自民党は先の選挙で②旧宮家養子縁組プランを「第一優先として、皇室典範の改正を目指す」との公約を掲げた。この点は、連立与党の日本維新の会も足並みをそろえている。