受験を母娘のプレシャスな記憶にしたチョコ

「これ覚えなさい」→「○○はな~んだ?」

子供が苦手科目や苦手分野で足踏み状態にあるような時は、可能な範囲で楽しくなるような声かけをするのも一つの方法だという。

「私は娘が受験期のとき、蛇腹状の年表を冷蔵庫に張って、ご飯を作りながらダイニングにいる娘が苦手にしていた歴史の問題を出していました。『日本で最初の時代はな~んだ?』『さて、それは何年からでしょう?』と。毎日、前の日にできなかった問題から出していき、答えられたら『昨日の問題も今日は完璧だね』と褒めました。娘もこのクイズ時間は楽しかったようで、毎日何カ月か続けていたら歴史が大好きになって点数もとれるように。こういう遊び心も、親に余白がないとできませんよね」

「がんばってね!」→(無言で一粒チョコを置く)

口を開けば余計な一言を発してしまいそう。あるいは、どんな一言でも子供にとってプレッシャーになってしまいそうなときは、何も言わないのが吉。園田さんも、ある時期は無言で応援する姿勢を取っていた。

「娘の受験直前期、小6の11月頃から娘と私は朝型に切り替えて、5時半に起きていました。私がキッチンで食事の準備をしているとき、娘は数メートル先のリビングでカリカリ勉強している。この時期になると子供も十分わかっているんです。そこで私は『一緒に早起きして応援しているよ』という気持ちから、何も言わず、そっと一粒のおやつを“お目覚め”として置くようにしていました。

『Meltykiss』という冬限定発売のキューブ型のチョコレートや、デパ地下で売っている『彩果の宝石』というフルーツゼリーなど、ちょっと特別感があるものを1日1個ずつ。それを3カ月間、受験当日まで毎日続けていました。今思えば、あの時は親子で一緒にがんばっている、すごく静かでプレシャスな時間でした。

娘もそのときのことは覚えていて、もう10数年前になるのに『受験のとき、毎朝5時半に起きてMeltykissを食べながら勉強したよね』と言うことがあります。

Meltykiss
撮影=プレジデントオンライン編集部

歴史クイズもそうですが、中学受験は親の私にとっても楽しい、宝物のような経験でした。受かっても受からなくても、一緒に精一杯頑張ったと思えるような終わり方ができれば結果オーライです。そのためにも、親は、今自分はどんな状態にいるのか、自分の声かけや関わりが良い効果を生み出しているのか、気づけるようにしたいものです」

取材・文=桜田容子

園田 恭子(そのだ・きょうこ)

ANA国際線客室乗務員や、コンサルティング会社でのコーチング・コンサルティング業務を経て、独立。現在はTransformでエグゼクティブ・アドバイザーとしても活動中。セルフマネジメントの領域から、ビジネスマンに向けてチームや組織で成果をあげていくためのサポートをしている。プライベートでは3人の子の母。13年前、娘の中学受験に伴走し、第一志望校のミッション系の難関女子中高合格に導いた経験を持つ。