親子で使い方に気をつけていれば問題なし

最近では、スマホなどのデジタル機器を過度に使うことが、子どもの認知発達の遅れや精神疾患の原因となると決めつけ、「デジタル自閉症」という造語を用いて論じた例もありました。デジタル自閉症という言葉は、医学的な診断名ではありません。一般社団法人自閉症協会、東京都自閉症協会なども、この言葉の使用に反対を表明しており、自閉症に対する偏見を助長する点でも批判されています。

私は、いわゆる「スマホ脅威論」には反対の立場です。以前の記事「『スマホに育児をさせないで』という人たちはわかっていない…小児科医が指摘するスマホの意外な効用」でも述べましたが、重要なのは「使うか・使わないか」ではなく「どう使うか」です。子どもの視力を守るため、身体活動などの他の活動をするための時間を確保するために、親子でスマホ使用のルールを作るのはいいことですが、一律に忌避することは過剰反応ではないでしょうか。

児童精神科医の本田秀夫氏も、YouTube「にじいろ子育てチャンネル」で、スマホそのものが問題なのではなく、どう使うかが大事だと指摘。保護者に対しては、スマホを禁止するよりも、子どもと一緒にスマホ以外の楽しいことをする時間を大切にすることをすすめています。

子育てまわりは危機感を煽る説だらけ

新しい技術や文化が普及するたびに、因果関係どころか相関関係があるのかどうかさえ曖昧なままで「危険だ」と危機感を煽る説が現れるのは、これまでの歴史で常に繰り返されてきたことです。スマホに限った話ではありません。

1950〜60年代、子どもが自閉症になるのは「冷蔵庫マザー」、すなわち母親の冷たい接し方が原因だといわれました。現在では完全に否定され、自閉症は生まれ持った特性であることがよく知られています。1960年代には、テレビによって国民全体が愚かになるという「一億総白痴化」という言葉が広まりました。マンガやアニメも、子どもの思考力を奪うものとして、今よりはるかに強く悪者扱いされていたのです。どれも根拠はありません。

赤ちゃんを抱いている父と母の手
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1970〜80年代には不登校は「登校拒否」と呼ばれ、親の愛情不足または甘やかしのせいだとされました。1990年代には、赤ちゃんが泣いたときにすぐ抱っこしないと「サイレントベビー」になり、感情表現が乏しい人間になるという説が登場。2000年代になると、今度は子どもがゲームをすると前頭葉が萎縮して「ゲーム脳」になり、キレやすい子になるという説が流行したのです。やはり根拠はありません。