アレルギー予防にはオーガニック食材がいいとかヨーグルトがいいとか、さまざまな説がある。しかし、小児科医の森戸やすみさんは「ちまたで噂されるアレルギー予防策のなかには効果がないどころか、逆効果なものまである。注意が必要だ」という――。
公園を仲良く歩く子連れの家族
写真=iStock.com/Satoshi-K
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アレルギーに関する間違った投稿が炎上

先日、自民党元衆議院議員の山田みき氏が、SNSのX(エックス)に、アレルギー予防にはオーガニック食材がよいと受け取れる、以下の投稿をして炎上しました。

「小学生のお子さんを持つママ友の皆様との懇談。子ども達を食物アレルギーや様々な健康被害から守るため、オーガニック給食を広げたい!というお話を伺いました。小中学生の給食をすべて有機農産物にできれば理想ですが、いきなり全部は難しいので、例えば国産小麦のパンとか、オーガニック調味料を使うとか、できることから少しずつ……(後略)」

これは10月22日の投稿ですが、1カ月以上が経った現在で242.6万回も閲覧されていて、内容を正すコミュニティノートが付き、批判的なリプライが300を超え、引用リプライも数多くされています。どれもオーガニック給食が「アレルギーやさまざまな健康被害から守るため」に役立つという根拠がないこと、本当に子どものためになるかどうか確かめてから導入を考えるべきではないかというものです。

山田氏は、Xで返信をしたり対話をしたりしない方針なのか批判に対する反応は一切なく、かといって削除もしていません。この投稿以後も一方的に自分の活動を投稿するだけで、山田氏がどう考えているのかわかりません。山田氏はオーガニック給食にしてほしいという保護者の話を聞いた後、慣行農業の農作物は本当に病気の原因なのか、オーガニック給食にしたら本当に子どものためになるのかを専門家に聞くべきではないでしょうか。

「相関関係」と「因果関係」を混同する例が多い

以前、「『オーガニック=安全』ではないのに…小児科医が指摘する“オーガニック給食”を全国推進しようとする不思議」の記事でお話ししたように、オーガニック食材が健康にいいという根拠はありません。慣行農業で作られた食材に比べて、よりアレルギーを予防することはないし、よりおいしいわけではないし、より栄養価が高いわけでもないのです。

それなのに「現代にアレルギーと診断される子が増えているのは、農薬や食品添加物のせいだから、オーガニック食材にするべきだ」などと言う人が後を絶たないのはなぜでしょうか。

これは相関関係と因果関係を混同しているせいかもしれません。相関関係とは、2つの要素が同時に変化するというもの。因果関係とは、一つの要素がもう一つの要素を引き起こすというもの。つまり、原因と結果です。

相関関係の例え話として「アイスクリームの売上が増えると水難事故が増える」というものがあります。暑い日が続くと、アイスクリームを食べる人が増えますね。同時に暑いと、海や川、プールに行く人も増えるので水難事故が増えます。このうちアイスクリームと売り上げと水難事故件数は相関関係で、因果関係ではありません。

同様に、例えば明治時代と現代を比べたら、農薬や食品添加物の使用量が増えアレルギーも増えています。でも、ともに増えたからといって農薬と食品添加物がアレルギーを増やしたという証拠はありません。因果関係ではなく、相関関係です。

【図表】相関関係と因果関係
著者がChatGPTで作図