本当の原因から目を逸らすと危険

このように因果関係と相関関係を混ぜてはいけないのは、本当の原因から目を逸らすことで、問題の解決から遠ざかったり、却って危険な可能性があったりするからです。

2021年には、ヴィーガン給食がアレルギーを予防するとして導入した小学校があり、新聞や雑誌で取り上げられました(※1)。ヴィーガン食ならアレルギー予防になると思ってアレルゲンの食品を食べてしまっては、命に関わることもあります。

そのほかにも、「卵アレルギーがあっても食べられる」と称して卵を売っていた例があります。例え平飼いのいい環境でいい餌を食べた鶏の卵だったとしても、アレルギーのある人が食べられるようになることはありません。消費者庁は、この件で専門家の意見を載せていて「医師の立会いがないまま当該卵を摂取してアナフィラキシーを発症した場合、患者の生命に関わる可能性があります」と警鐘を鳴らしています(※2)

同様に「グルテンフリーの小麦粉なら小麦アレルギーの子でも食べられる」と言う人がいますが、これも非常に危険です。グルテンがなければアレルギーがなくなるわけではありません。「でもグルテンを避けたら体調がよくなった気がする」という話を聞きますね。小麦を避けるとパンやケーキ、パスタ、多くのお菓子も食べないということになるため、グルテンを抜いたというより高GI食品が減った、ジャンクフードが減ったということが理由かもしれません。

自然農法だから大丈夫、オーガニックだから大丈夫という間違った安心感から、アレルギーのある食品を食べてしまったら危険です。騙されないようにしましょう。

※1 BuzzFeed「『ヴィーガン給食』導入した公立学校、絶賛するマスコミに疑問 栄養学的な問題、個人の思想の押し付けは許されるのか?
※2 消費者庁「加工食品のアレルギー表示制度の徹底について」(平成22年12月7日)

赤ちゃんのアレルギー予防のデマ

アレルギーについてはとてもデマが多く、例えば、赤ちゃんに関しては特に以下のような情報もまことしやかに広まっていますが、全て間違っています。

・妊娠中から代表的なアレルゲンを避ける
以前は母親がアレルギーの原因になる食品を食べすぎると、胎児や乳児がアレルギーになると考えられていました。ところが観察研究・介入研究で、そうした食品を減らしたり避けたりしてもアレルギーの発生は減らず、むしろ続けて摂っていると寛容になる、つまりアレルギー症状が出ない可能性があるということがわかりました。また、母親が特定の食品を避けることで栄養が偏ったり、母子の栄養状態に悪影響を及ぼす危険性があるので、却ってよくありません。

・粉ミルクを飲ませないで母乳だけにする
「昔はアレルギーが少なかったのは母乳育児だったからでは」と考える人がいるようです。「母乳育児で病気を少なくできるならアレルギー予防にもいいはず」「腸内細菌が母乳で整うとアレルギーは減る」と考えているのかもしれません。しかし、残念ながら、IgEが関与する食物アレルギーには、母乳の予防効果は示されていません。

・1歳半までは母乳だけで育てる
「1歳半までは離乳食を与えず母乳だけにすると歯並びがよくなり、アレルギーも防げる」という説もありますが、栄養学的には鉄が不足するので脳・神経系の発達が心配ですし、ビタミンD不足からくる病になる危険性もありますし、アレルギーの予防にもなりません。

授乳
写真=iStock.com/szeyuen
※写真はイメージです

他にもあるアレルギー予防のデマ

他にも以下のような方法は、アレルギー予防によいという根拠はないので、実践しないようにしましょう。苦労するだけで意味がなかったり、逆効果だったりします。

・砂糖や甘いものを食べないようにする
砂糖には炎症を悪化させる性質があるため、アレルギーの原因になるという説がありますが、これは間違っています。甘いものはおいしいので食べすぎてしまいやすく、そうなると健康によくないのは確かですが、アレルギーの原因ではありません。

・ヨーグルトや発酵食品をとる
発酵食品で腸活をすると免疫力がアップし、アレルギーを予防するといっている人がいます。しかし、それらの食品は栄養価が高く健康には貢献すると思いますが、アレルギーの予防効果は確かめられていません。

・洗濯洗剤を使わない
洗濯物に残留した洗剤は化学物質なので皮膚の刺激や負担になり、アレルギーの原因になると考える人がいます。海外のナチュラル志向の育児ブログでは「Laundry stripped(洗剤不要)」といったライフスタイルが紹介されているようです。でも、アレルギーの原因は、衣服に微量に残留した洗剤ではありません。むしろ食べ物や汚れが付着したままの衣服は肌によくありません。

・市販の食品を与えない
手作りの食べ物は、何が入っているかわかりやすいという面では安心ですね。ですが、家庭で作ったら市販のものよりもアレルゲンが減るわけではありません。市販の食品を利用しても大丈夫です。