「親ガチャ」という言葉に追い詰められる親たち
もともと真面目だった親御さんがさらに追い詰められる原因となっているのが、「親ガチャ」という言葉に象徴されるような社会の風潮です。
「親ガチャ失敗」「親ガチャ外れ」
SNSやメディアでこの言葉を目にするたび、胸が締め付けられるような思いをしている親御さんは多いのではないでしょうか。この言葉の裏には、「子どもの人生の結果は、すべて親の責任である」という、強烈なメッセージが張り付いています。いわば、社会から「親の製造責任」を問われているような状態です。
真面目で責任感の強い親御さんほど、このプレッシャーを真正面から受け止めてしまいます。「私がしっかり育てなかったから、この子はこうなったのか」「子どもに『親ガチャ外れ』なんて言わせるような親になってはいけない」
そうやって追い詰められると、親御さんはどうなるでしょうか。「失敗させないように」「道を踏み外させないように」と、必死になります。転ばぬ先の杖を用意し、勉強をさせ、良い学校に入れようとし、ゲームを制限する。「あなたのためを思って」やっているその行動は、社会から「ダメな親」の烙印を押されることを恐れるあまり、過剰な「過干渉」となってお子さんに向かってしまうのです。
社会全体が親に完璧を求め、責任を押し付ける風潮が、親御さんの心の余裕を奪い、自分を許せなくさせ、結果としてお子さんをコントロールしようとする「過干渉」に繋がっている。これが、現代の不登校問題の背景にある、悲しい連鎖なのです。
だからこそ、「親ガチャ」という言葉に傷ついたり、追い詰められたりする必要はありません。あなたはもう十分、責任を果たそうと頑張っています。社会の声に耳を塞ぎ、まずはご自身をその重圧から解放してあげることが、解決への第一歩になるのです。
解決の鍵は「親が自分に許可を出すこと」
では、なかなか自分のことを許せない、お子さんのことも許せない。イライラしたり、モヤモヤしたり、不安になってお子さんを動かしたくなってしまう……。
そんな時に、どうやって「許す」ということをしていったらいいのでしょうか。
ここで実践的なワークをご紹介します。
それは、お子さんを許そうとする前に、まず「自分自身を許してあげる」ことです。私たちは、自分のことを許せていないと、相手のことを心から許すのは難しいからです。
やり方はシンプルです。
【ワーク1】「○○してもいい」と声に出して、自分に許可を与える
「ダラダラしている子どもを見て、腹が立ってもいい」
「子どもに元気を取り戻してほしいと思ってもいい」
「子どもの将来のことについて、不安になってもいい」
「子どもにいろんなことを言いたくなってもいい」
「腹が立ったり、モヤモヤしたり、悲しくなったり、落ち込んだりしてもいい」
このように、今自分が感じていること、自分の状態を「それでもいい」と声に出して許してあげてください。
これだけでも、体の力が抜けたり、自然と涙が出てきたりする親御さんは少なくありません。ご自身がそれだけ我慢し、自分を責めてきた証拠でもあります。



