他者宛の電話を受けた際に失礼のない対応ができているか。ビジネスマナー講師の尾形圭子さんは「電話に出られない理由をむやみに伝えると、『こちらの用件のほうが重要(緊急)だ』と不快にさせる可能性がある。相手への礼儀として伝えるべきことと、そうでないことをしっかりと意識する必要がある」という――。

※本稿は、尾形圭子『ソツのない受け答えからクレーム対応まで[新版]一生使える「電話のマナー」』(大和出版)の一部を再編集したものです。

指名者が電話に出られない理由を伝える

指名者が外出中

基本:「申し訳ございません。○○はただいま、外出しておりまして、×時には戻る予定になっております。戻りしだい、こちらからお電話させていただきますが、よろしいでしょうか?」

応用:「本日は会社に戻らない予定になっております。明日、出社しだい……」 ※外出先から直接帰宅する場合

「○○は本日お休みをいただいております。×日には出社の予定ですので、出社しだい……」 ※会社を休んでいる場合

取り次ぎを頼まれても、指名者がすぐ電話に出られるとは限りません。

そのときは、指名者が電話に出られない(不在の)理由を相手に伝え、その後の対応について要望を尋ねる必要があります。

たとえば、指名者が外出中の場合は「申し訳ございません」とお詫びの言葉を述べたうえで、「○○はただいま、外出しておりまして、×時には戻る予定になっております」と伝えます。そして、「戻りしだい、こちらからお電話させていただきますが、よろしいでしょうか?」と尋ねるのが基本です。もし、指名者が外出先から直接帰宅する予定であれば、「本日は会社に戻らない予定になっております。明日、出社しだい……」となります。

ここでは、「予定」という表現を上手につかいましょう。戻り時間や日程が変更になったとき、「予定が変わりまして」と言うことができるからです。

なお、指名者が会社を休んでいる場合は「○○は本日お休みをいただいております。×日には出社の予定ですので、出社しだい……」という具合です。ここで注意したいのは、指名者の外出先や休んでいる理由などをむやみにもらさないということです。

●指名者の不在をお詫びする気持ちが、ていねいな対応につながる

コールセンターで対応するビジネスパーソン
写真=iStock.com/Photobuay
※写真はイメージです

「席をはずしている」でOK

指名者が離席中
基本:

「申し訳ございません。◯◯はただいま、席を外しておりまして、× 時には戻る予定になっております。戻りしだい、こちらからお電話させていただきますが、よろしいでしょうか?」

補足※指名者が電話中で、語尾をスッキリさせた話し方
「申し訳ございません。◯◯はただいま、ほかの電話に出ておりますので、終わりしだい、こちらからお電話いたしましょうか?」

指名者が社内にいても、接客や会議、あるいはトイレなどで姿が見えず、電話を取り次げないことがあります。

そのような場合、「○○はただいま、席をはずしております」と伝えるのが無難です。

「接客中」「会議中」などと伝えると、「こちらの用件のほうが重要(緊急)だ」と不快にさせる可能性があるからです。また、指名者をいちいち探し回る必要もありません。

ただし、会議や接客の終了時刻がわかっているなら、その予定を相手に伝えるのが礼儀です。「申し訳ございません」と、指名者の不在をお詫びしたうえで「○○はただいま席をはずしておりまして、×時には戻る予定になっております。戻りしだい、こちらからお電話させていただきますが、よろしいでしょうか?」と尋ねます。

もし、トイレなどですぐに戻ってくるようなら「まもなく戻る予定です。戻りしだい、こちらからお電話いたしましょうか?」と言えばいいでしょう。

ここでは、語尾をスッキリさせたパターンもご紹介しました。お急ぎの場合や何度か話したことのある方なら、ていねいさを保ちつつ、スピード感を考えることも大切です。

●これも定番フレーズ。上手につかいこなそう