どうしたら大きく育てられるのか
では、どうしたら子どもをできるだけ大きく育ててあげられるでしょうか。やはり、子どもの成長と発達には、栄養の量とバランスが何より大切です。乳児の場合、母乳や育児用ミルクを本人が欲しがるだけ与えましょう。水やスポーツドリンクなどは必要ありません。そして、生後5〜6カ月以降は、母乳と育児用ミルクだけでは必要な栄養素が不足するため、必ず離乳食を始めてください。
こども家庭庁が出している「授乳・離乳の支援ガイド」では、離乳食はつぶし粥から始めると書かれていて、WHOやユニセフの「Guiding Principles for Complementary Feeding」では水っぽくなく、スプーンからすぐに落ちてしまわない程度の濃さが必要とあります。それなのに多くの育児雑誌や育児サイトなどではもっと薄い十倍粥をごく少量から始め、かなり長く続けるように書いてあるものがあります。薄すぎるお粥だとエネルギーが不足し、体重や身長が増えづらくなりますから、つぶし粥から始めてください。そして、主食であるお粥だけでなく、タンパク質や野菜も与えます。
子どもの成長には十分なエネルギーとさまざまな栄養素が必要ですから、離乳食開始後はさまざまな食品をできるだけバランスよくしっかり食べさせましょう。
しっかりエネルギーを摂ることも重要
というのも、じつは子どもは、体重あたりの必要エネルギーが大人の約2倍です。以前、他院の小児科医から「将来子どもをモデルにしたいので、脂肪を増やさないよう食事制限をしています」と話す親御さんがいたと聞いたことがあります。が、これはとんでもないことです。ただ身長や体重が増えるだけでなく、身体機能も発達していく時期ですし、食事量が減ると栄養も不足します。何よりも十分な量を食べさせることが大切です。
なお、子どもがスポーツをしている場合、必要なエネルギーがより多くなります。例えば、特に運動をしていない中学生男子には1日2584kcalが必要ですが、部活動などで強度の高い運動をしていると、それに加えて1日300kcalは多く摂取する必要があります。子どもの年齢や活動強度によって必要なエネルギーは変わるのです(※1)。
エネルギーだけでなく内容も大事です。筋肉と骨の需要が増えるため、タンパク質やカルシウム、ビタミンDの需要も増え、発汗で失われるミネラルも補給しなくてはいけません。ただし、こうした栄養は摂れば摂るだけ身長が高くなるわけではありません。栄養が不足しているときに充足するまで摂れば身長は伸びますが、すでに足りている子にたくさん与えても伸びません。エネルギーを摂取しすぎたら太るのは大人と同じです。
※1 日本医師会「1日に必要なカロリー 推定エネルギー必要量」


