古い価値観を手放せない自分を許す
中には、親御さんが変わっても「お子さんの心には、まだ鎖が残っているように感じる」というケースがあります。「この子はまだ『学校に行かなければいけない』『もっとできる自分でいないといけない』という考えに縛られている気がする」と。
「その鎖をほどいてあげたい」「苦しみから解放させてあげたい」という親心は、非常によく理解できます。しかし、ここで大切なのは――その鎖を「取ってあげよう」としてもうまくいかない、ということです。
「苦しまなくていいよ」「気にしないでいいんだよ」と言っても、お子さんはやはり苦しいものですし、気になってしまうものです。そうしたときは、「苦しいんだね」「つらいんだね」と、その感情をそのまま受け入れ、寄り添うことの方が、結果的にその鎖をゆるめ、ほどくことにつながっていきます。
これは、親御さんご自身が「自分を縛っている鎖」を手放すときにも、非常に大切な視点です。
僕たちが持っているさまざまな価値観には、それぞれ意味があり、背景があるのです。たとえば、「学校には行くべき」「青春を謳歌してほしい」と願うのは、お子さんに安定した、安心できる、そして充実した人生を歩んでほしいという、親心から来ている価値観です。
ですので、そうした価値観を否定したり、ダメだと決めつけてしまうと、それを手放すことがかえって難しくなってしまいます。
「そういう価値観があったんだね」「その価値観で、今までよく頑張ってきたんだね」と自分自身を認めてあげること――それが、価値観を手放すための第一歩として、非常に大切な姿勢になるのです。
受容された経験が社会に踏み出す勇気になる
お子さんが悩んでいたり、葛藤していたり、「友達とうまくやっていけるかどうか」と不安を感じているときには、「不安なんだね」とその気持ちに寄り添って話を聞いてあげるだけでも、非常に大きな力になります。
また、「できることがあったら言ってね」「私はあなたの味方だよ」と伝えることで、お子さんは「悩んでいる自分でもいい」「葛藤している自分でもいい」「グズグズして動き出せない自分でもいい」と、少しずつ自分を受け入れられるようになっていきます。
その受容の積み重ねが、自分を縛っていた鎖を手放し、より自由な形で社会や人間関係を育んでいく力につながっていくのです。


