Z世代を対象とした博報堂生活総合研究所の調査で、「異性と同性どちらの目を意識するか」という質問に、67.1%の女性が同性の目を意識すると回答。異性が意識する女性が3割程度にとどまることがわかった。『Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係』(光文社新書)から、その実像を紹介する――。
おそろで沖縄旅行を楽しむ女性グループ
写真=iStock.com/imacoconut
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SNS上の縁をリアルに深めるZ世代

子どものころにインターネットがまだ人口に膾炙かいしゃしていなかった大人たちは、どうしても「インターネット(SNS)上の友達はつながりが薄い」「表面上の関係にすぎない」といったイメージを抱きがちです。

しかし、それは実態と合っているのでしょうか?

答えは、「否」です。今の若者はむしろ、さまざまなアプリを使いこなしながら、自分にフィットする友人を丁寧に選び取るというアプローチをとっています。

あるアーティストのファンである男子大学生は、深く共感できる相手を求めて数百人規模のファンが集う、チャットアプリのオープンチャットに参加しました。その巨大な空間でのやりとりのなかで、「この人とは好き度合いが近いかも」「住んでいるエリアが近そう」「価値観も合いそう」と感じるメンバーが徐々に見えてきたタイミングで、15人ほどの小グループに移動。そこでさらに1年間ほどオンライン上で交流を重ね、あるひとりの女性と実際に会ってみて、そのまま異性としてのお付き合いが始まったそうです。

たとえば、ライブ会場で隣にいる人も同じアーティストを好きという共通点はありますが、深い価値観までは分かりません。気が合わない可能性もあるし、ライブが終わるまでフェードアウトすることもできない気まずさもあります。あるいは同じ「電車好き」の集まるイベント会場でも撮り鉄なのか乗り鉄なのかは話してみないと分からないし、初手しょてでコミュニケーションを間違えると事故になるでしょう。

「ガチ勢」との友情はネットならでは

けれどインターネットなら、自分のペースで相手を判断することができます。「好き」の方向性や強度、向き合い方をじっくり吟味ぎんみできる。

要はリスクをとらずに「合わない人」を除いていけるという、大きなメリットがあります。開かれた入り口から自分に合う関係性へ、若者たちはアプリ上のコミュニティ機能を器用に使いこなしているのです。

ネット(SNS)上にいる気が合う「ガチ勢」を見つけ、つながり、趣味や好きなことについてとことん深く話す。そのジャンルに関しては何の忖度そんたくもいらないし自分をさらけ出せる。そんな新しい友達の作り方が確かに生まれています。リアルの友達とは違って進路の相談やなにげない雑談をするわけではなく、あくまで特定トピックについての興味・関心だけを共有する、機能分化の先にある関係です。

このように友達を使い分けているZ世代にとっては、友人関係はもはや「濃いか、薄いか」という二元論ではなくなってきている面もあります。

たとえば、オープンチャットで出会う「ガチ勢」の友達がこれまで歩んできた人生は、正直よく分かりません。話題が多岐にわたるわけではないし、もちろん相手の親御さんやリアルな友達に会ったこともないので、あっさり薄い関係を築いているようにも見えます。

けれど、趣味の分野ではどのリアルの友達よりも深く共感し、局所的には特濃のコミュニケーションが取れるのも事実。Z世代にはそんなスペシャリスト型の友人が出現しているのです。