自分で考えて動ける子を育てるには、どうすればいいのか。早稲田大学教育・総合科学学術院の河村茂雄教授は「親がしつけのために発したひと言が、子供の考える力を低下させることがある。最悪の場合、指示がなければ動けない子になってしまう。将来の可能性を最大限引き出すためには、参考にしてほしい声のかけ方がある」という――。(第1回)

※本稿は、河村茂雄『大学生の安全行動志向にみる 大人になるための非認知能力』(図書文化社)の一部を再編集したものです。

“親の教育熱心さ”が裏目に出る

近年、乳幼児に対する早期教育がますます過熱しています。2歳ごろから始まる有名幼稚園へのお受験準備教育、幼児教室(子どもが楽しみながら無理なく知的能力を伸ばすための活動を取り組めるカリキュラムが組まれている)、英会話教室なども人気です。

習い事も一般化しており、1歳児ではリトミックやスイミング、3歳を超えてくるとピアノ・ヴァイオリンなどの音楽関係や、体操やサッカーなどのスポーツ関係がおもなものです。ちなみに、リトミックとは、他の子どもと一緒に音楽に合わせて歌ったり、体を動かしたりして、子どもの知的・身体的・精神的能力の育成を目的とした教育法です。

ピアノを弾く子供
写真=iStock.com/Kunlathida Petchuen
※写真はイメージです

早期教育のメリットはもちろんあると思います。しかし、先をみすえて親が課題を与えすぎることは、子どもの自律性の形成に影響することも想定されます。

幼児は保護者の心理にとても敏感です。大好きな母親の笑顔・スキンシップを求めて生きており、保護者の期待を自分自身の要求のように感じて活動する傾向があります。特に親の言うことをきく「よい子」ほど、その傾向が大きいと思います。保護者が描くキャリアモデルに子どもをのせようと集中する心理が、子どもの心とすれ違い、愛着関係の形成にマイナスの影響をもたらしたり、子どもの自律性を乏しくすることにつながったりしないよう、注意することが大切です。

自律性を高めるには“環境をつくる”

自律性の形成には、自発的なものから始めた試行錯誤のプロセスや結果から身についていく面があります。自発的なものとは、好きなこと、自分がやりたいと思った遊びのようなワクワクするものです。つまり、内発的動機から始まった行動で、そのプロセスや結果に喜びを感じられることが必要なのです。与えられた課題をうまく達成できて保護者からほめられた喜びとは、根本的に違うのです。おもなポイントは2つです。

【環境設定による間接的な促し】

自律性の形成は、保護者から与えられた課題の達成からではなく、遊びのように自分の欲求から自発的に夢中で活動していく中で形成されていくものです。したがって、子どもが自ら取り組みたくなるような遊びのような自然とやりたくなるような環境(遊具や絵本、クレヨンなど配置する)を設定したり、保護者が楽しくやっているところを見て思わず参加したくなるような演出を工夫したりするなどの、間接的な促しを、豊富にしていくことが有効です。