スマホが親子のコミュニケーションを阻害

――確かに、昔なら通常学級にいた少しやんちゃな子やコミュニケーションが苦手な子にも、何らかの診断がついていると感じます。

気を付けたいのは、仮に診断がついても、診断名がその子のすべてを表現しているわけではない、ということ。成長に伴い、診断がつかなくなるほど困りごとが目立たなくなる子もたくさんいます。

また、スマホが普及したことによる親子間のコミュニケーション力の低下も、発達特性が目立つようになった要因に関連しているのかもしれません。乳児期から子どもがグズったらすぐにスマホを見せる……これを繰り返すと、親子間で学ぶべきコミュニケーションの力や社会性がどうしても弱くなり、結果的に言葉の発達が遅れたり、ちょっとした嫌なことへの我慢が苦手になり癇癪を起こしやすくなったりする可能性も考えられます。

会話の苦手な少年が「アート」に目覚めた

――お子さんの発達特性に気付き、落ち込んでしまう親御さんも多いと思います。発達特性を活かした子育てを実践している事例を教えてください。

では、3名の事例をお伝えします。

ある小学1年生の男子は人との会話や集団適応が苦手なASDタイプで、初めてのことへの苦手意識も強かったそうです。そのお母さんはどうやったらコミュニケーション力を伸ばせるか、息子の得意なことや趣味を見つけてあげられるかと悩んで、私の個別コンサルを申し込まれました。

そこでいろいろと話した末、発達特性がある子どもたちは独特な感性を持っていることが多いため、何らかの形でアートに触れさせることをおすすめしました。するとその子は、アート関係のテレビ番組にハマり、町中にさまざまな「パブリックアート(公共空間に設置された芸術作品のこと)」が設置されていることに気づき始めました。

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写真=iStock.com/PicturePartners
※写真はイメージです

最近では、パブリックアートの本を買って、電車に乗り関東中のパブリックアートを見に行く親子の趣味ができたそうです。小学1年生からパブリックアートが好きなんて、すごくユニークで素敵ですよね。

アートを自分で描いたり作ったりするだけではなく、その内容を解説する仕事もあります。海外の素敵な作品を見つけてきて日本に紹介する仕事もできるかもしれません。