目指すは「権威的な親」
その真逆で、子どもがやりたいことを自由にすることを許してしまう許容的な親だと、子どもはなんでも自分の思い通りになると勘違いして、わがままを言ったり、癇癪を起こして親を困らせ言うことを聞かせようとするようになります。厳しく怒鳴りつけるのは子どもの自尊心を傷つけてしまい良くないと思っている親ほど、許容的な親になりがちです。
ただ、許容的な親は自分の子が言うことを聞かないことが続くと、だんだんイライラしてきて最後に独裁的な怒り方をしがちです。人格否定をしたり、「おもちゃを捨てるよ!」と脅したり……。そういう怒り方をしてしまうと、子どもが混乱して良くないですね。親の言うことには一貫性が大切です。
――普段は優しく接しているのに、自分に余裕がないと強い口調で怒ってしまう……。確かに、お子さんも混乱してしまいそうですね。
だからこそ、親御さんは子どもに対して、普段から年齢や理解力に応じた制限をかけつつ、温かみがある権威的なリーダーシップを取るスタイルを意識することが大切なのです。
権威的な親は「ダメなものはダメだよ」としっかり伝えます。例えば子どもが「自分の好きなことじゃないからやりたくない」と言った時に、それを許すのではなく「どうやったらできるかを考えよう」と子どもと一緒に問題解決していく姿勢を持つのが理想的です。
子どもの社会適応が進めるためにも、ぜひ権威的でリーダーシップを発揮する親になって社会のルールを教え、子どもの特性を強みにしていってほしいです。
「発達ゆっくりさん」との関わり方
――発達がゆっくりな子には、いつから社会のルールを教えていったらよいのでしょうか。
言葉の遅れなどがあると、知的な理解が遅いと思われがちですが、年齢相応のタイミングで社会のルールを教えてほしいと思っています。耳からの情報だとうまく処理できないタイプのお子さんには、絵や動画などを見せて教えると良いでしょう。交通ルールから社会のルール、すなわち友人との付き合い方のマナー、会話の例、物の扱い方などを、「どうせわからないだろう」と決めつけず説明して、根気強く教えてあげてください。



