震災の教訓から生まれた「柔らかい床の体育館」

また、学校は災害時に避難所になる。誰にとっても避難設備の安心感は重要だが、特に東日本大震災を経験した地域住民たちにとってはその思いは大きいだろう。そのため、体育館の床は塩化ビニル樹脂で覆い、やや柔らかい素材となっている。また、災害対策本部となるであろう職員室とは扉一枚でつながっており、すぐに体育館内の状況を把握できるようにしている。

体育館の様子。被災時の状況も想定して作られている
筆者撮影
体育館の様子。被災時の状況も想定して作られている

また、地域との連携は、この学校のビジョンを継承していく上で非常に重視されている。学校の教職員は定期的に人事異動する。校長や長く在籍していた教員が異動したことで学校文化が失われては、学び舎ゆめの森が立ち上がった際の思いを受け継いでいくことは難しくなる。

子どもも大人も「ごちゃまぜ」だからいい

「昨年度から、本校の文化を継承していくためにコミュニティスクールとし、地域の方や企業にも学校運営協議会に入ってもらって組織づくりに臨んでいます」と猪狩先生は言う。コミュニティスクールとは、学校と地域住民が連携・協力した学校運営を行い、地域と一体となり、特色を持った学校づくりを進めていく仕組みのことだ。学校運営協議会という組織で議論を重ねて、学校の進むべき道を共につくっていく。

コミュニティスクールで議論された内容が貼り出されている
筆者撮影
コミュニティスクールで議論された内容が貼り出されている

すでに数回議論が重ねられ、アフタースクールの充実や多様な子どもたちを支える環境整備といった議題が話し合われているという。そして、「学び舎ゆめの森の強みとして、『ごちゃまぜ』というキーワードが出されました」と猪狩先生は嬉しそうに言う。「ごちゃまぜ」とは、学び舎ゆめの森が大事にしている個の尊重と調和、そして学校と地域の混ざり合う姿のことを指す。

ビジョンの継承から、取り組みの充実まで、学校単体で行うのではなく地域も一体となって実践していく。新たなステージへの挑戦を、学び舎ゆめの森はスタートしている。