時間割も先生と交渉して決める自由さ

授業の進度や学び方が違えば、当然ながら宿題もそれぞれ異なってくる。一律に宿題を出されることはほぼなく、日々の宿題でも長期休暇の宿題でも、出される場合には、それぞれの子どもたちが教員との面談をベースに自分に必要な学びを決める。

子どもが決めるのは授業内容だけではない。

時間割に関しても、子どもが決められる幅を持たせている。例えば、毎週金曜日の時間割は子どもが先生と交渉しながら決めていく。毎日、子どもたちが自由に使える25分間の「レベルアップタイム」も用意されている。この時間を、苦手を補う勉強に使う子もいれば、得意を伸ばす時間にする子もいる。使い方は毎日子ども自身が決める。

机や椅子、壁の区切り方などさまざまなタイプの教室がある
筆者撮影
机や椅子、壁の区切り方などさまざまなタイプの教室がある

自分に合った学び方を見つけると学習速度が上がる

転入したばかりの子どもたちの中には、戸惑う子もいるという。ただ、「まずは他の子を真似ながら、徐々に自分に合った学習方法やペースを身につけていく」と猪狩先生は語る。

あるとき、中学1年生になった生徒が、「先生、僕はやっと自分に合った勉強のしかたがわかったよ」と猪狩先生に声をかけてきたという。「自分なりにこうすれば学びが身につく」ということを、学び舎ゆめの森に来て3年目にして手応えを感じたのだ。そして、一度、自分に合った学び方を獲得した子は学習を加速させていくそうだ。

これを「早い」と捉えるか「遅い」と捉えるかは、人によって意見が異なるだろう。ただ、現状では、残念ながら高校生になっても、大人になっても、「自分に合った学び方」を習得していない人は少なくない。その点を踏まえると、中学1年生で自らの学びのスタイルを築いていけることに私は希望を感じる。

校則で縛るよりも「ビジョン」に立ち返って考える

学び舎ゆめの森が最も大事にしているのは、子どもが学習の中心になっていることだ。それは、授業だけでなく、あらゆる教育活動において軸になっている。

探究学習にも力を入れているが、多くの学校が行っている「グループで取り組む」「このテーマで探究学習をする」といった枠組みも設けていないという。